1『あがないの時間割―ふたつの体罰死亡事件―』(勁草書房)
収容所と化した高校に迫る神戸高塚高校で十五歳の女子高生が鉄製の門扉で死亡した校門圧死事件は三年前の出来事である(ALL REVIEWS事務局注:本書評執筆年は1993年)。本書の著者が取材し分析を試みた岐阜県立中…

収容所と化した高校に迫る神戸高塚高校で十五歳の女子高生が鉄製の門扉で死亡した校門圧死事件は三年前の出来事である(ALL REVIEWS事務局注:本書評執筆年は1993年)。本書の著者が取材し分析を試みた岐阜県立中…
コロナが 「賃貸族」を再考させたはじめまして、みなさん。モトザワです。57歳、独身、子なし、住宅大好きな「住み道楽」のフリーライターです。いきなりですが、質問です。コロナは、あなたの生活を変えましたか…
楽しむ境地が生んだ動物言語学研究室鳥の言葉について、著者自身の研究史と研究結果が具体的にわかりやすく述べられている。じつに面白いので、多くの人にお薦めしたい書物である。ピーチク、パーチク、鳥が一体な…
文学がつなぐ夢、40年の宿題解く『街とその不確かな壁』は村上春樹氏の六年ぶりの新作長編。自身の半生と文学の本質を凝縮した寓話小説だ。全体は三部構成。村上氏自身も、私/子易(こやす)さん/イエロー・サブ…
ユーモア漂う独特の文体小沢信男さんは、1927年、銀座西8丁目育ち。小説やエッセイ、評伝、あるいは書評や詩、俳句を書いてきた。そのどれにも著者の育った東京の姿が映し出されている。本書には小沢さんの文業の…
外部を招き入れて理解を実現著者の名前を見ただけで難しかろうと敬遠するのが無難とわかっていながら今回はあえて取り上げる。「天然知能」という言葉で、私が生きものの感覚として大事にしていることを論理的に考…
2023年「この3冊」<1>楊双子『台湾漫遊鉄道のふたり』(中央公論新社)<2>サリー・ルーニー『ノーマル・ピープル 』(早川書房)<3>吉田修一『永遠と横道世之介』(毎日新聞出版)<1>は、日本統治下の…
欲することに別れを告げて幸福を得る人はなぜ熱愛に陥り、一年もすれば冷め、場合によって、アルコールや薬に依存し、新奇なものを追い求め、移民し、起業するのか。本書は以前から報酬系として知られた脳内のドー…
「究極の利他」を生んだ生涯たどるアンパンマンは幼児に人気がある。いや人気があるどころか、泣く子も黙るのがアンパンマンだ。「病院で大泣きしていた子が、アンパンマンの顔を見た瞬間、ぴたりと泣き止む。その…
単行本あとがきいまから四年ほど前、『文藝春秋』編集部の鈴木康介さんから、エロス関係の本だけを取り上げる書評のページを担当してみないかと提案された。鈴木さんは、私が『週刊文春』の「私の読書日記」でとき…