本文抜粋
『一気にわかる! 池上彰の世界情勢2020 自国ファースト化する世界編』(毎日新聞出版)
今年は、4年に一度のアメリカ大統領選挙の年。イギリスではEU離脱が正式に決まりました。世界の流れが大きく変わろうとしている中、アメリカのトランプ大統領、イギリスのジョンソン首相、そして中国の習近平主席は、自国中心主義に突き進んでいます。世界はこれからどうなるのでしょうか? そんな複雑な国際情勢を、テレビや新聞でおなじみの池上彰さんがわかりやすく解説。この1冊で、世界のニュースの流れがわかります!
去年暮れのイギリス総選挙でEU離脱の実現を公約に掲げていた保守党が勝利したことで、いよいよイギリスのEU離脱手続きが具体化します。
また、今年はアメリカ大統領選挙の年でもあります。アメリカの大統領選挙は4年に一度。ちょうどオリンピックと同じ年の11月初めに実施されます。大統領選挙には、いろいろな政党の候補者が立候補しますが、共和党と民主党という2つの政党が飛び抜けて強い力を持っているため、実質的には2つの政党の一騎打ちです。
池上:あれはやっぱり「焦り」ですよね。アメリカが本当に強かったら、わざわざ言わないと思います。余裕がないから「メイク・アメリカ・グレート・アゲイン」と言っている。「アゲイン」ということは、要するに、もうすっかり衰退してしまっているということを前提にしているわけでしょう。大変な焦りです。
──「ブレグジット」でイギリスは迷走しました。
池上:トランプ現象に見られる自国中心主義は、実はその前のブレグジットが先なんですよね。どちらも同じ2016年です。イギリス一国主義、イギリスさえよければいい、なぜEUと一緒にいなければいけないのか、ということがまずあって、その後アメリカでも同じことが起きたというわけです。
池上:彼女の行動力はすごいですね。まずやったのが、学校ストライキ。ヨーロッパでもさまざまなところに広がっています。ドイツでは、みんなが統一行動をしようと学校ストライキをやりました。生徒が学校を休みますと言ったら、先生も一緒になってやったところもあります。
アメリカの大統領選挙を見ていると、政治のダイナミクスや躍動感に満ちています。これだけ激しい動きがあれば、国民の選挙への関心も高まるでしょう。それに引き換え、日本は……、などと言わずに、海外の動きから日本も学ぶことがあるはずです。この本が、少しでもお役に立てれば幸いです。
[書き手]池上彰
2020年はどんな年に?
池上:今年2020年は東京オリンピック・パラリンピックが開かれますね。ついにオリンピックイヤーの幕開けです。とはいえ、浮かれてばかりいられないのが国際情勢です。去年暮れのイギリス総選挙でEU離脱の実現を公約に掲げていた保守党が勝利したことで、いよいよイギリスのEU離脱手続きが具体化します。
また、今年はアメリカ大統領選挙の年でもあります。アメリカの大統領選挙は4年に一度。ちょうどオリンピックと同じ年の11月初めに実施されます。大統領選挙には、いろいろな政党の候補者が立候補しますが、共和党と民主党という2つの政党が飛び抜けて強い力を持っているため、実質的には2つの政党の一騎打ちです。
「焦り」としての、アメリカの自国ファースト主義
──そんな中、ひとつの現象といえるのが、冷戦崩壊後のアメリカとは全く違う、アメリカの自国中心主義だと思います。池上:あれはやっぱり「焦り」ですよね。アメリカが本当に強かったら、わざわざ言わないと思います。余裕がないから「メイク・アメリカ・グレート・アゲイン」と言っている。「アゲイン」ということは、要するに、もうすっかり衰退してしまっているということを前提にしているわけでしょう。大変な焦りです。
ブレグジットとイギリス
──「ブレグジット」でイギリスは迷走しました。池上:トランプ現象に見られる自国中心主義は、実はその前のブレグジットが先なんですよね。どちらも同じ2016年です。イギリス一国主義、イギリスさえよければいい、なぜEUと一緒にいなければいけないのか、ということがまずあって、その後アメリカでも同じことが起きたというわけです。
ヨーロッパの環境問題に対する意識
──グローバルな問題といえば、昨年の国連気候行動サミットで地球温暖化について演説したスウェーデンのグレタ・トゥーンベリさん。16歳だということもあって話題になりました。池上:彼女の行動力はすごいですね。まずやったのが、学校ストライキ。ヨーロッパでもさまざまなところに広がっています。ドイツでは、みんなが統一行動をしようと学校ストライキをやりました。生徒が学校を休みますと言ったら、先生も一緒になってやったところもあります。
アメリカの大統領選挙を見ていると、政治のダイナミクスや躍動感に満ちています。これだけ激しい動きがあれば、国民の選挙への関心も高まるでしょう。それに引き換え、日本は……、などと言わずに、海外の動きから日本も学ぶことがあるはずです。この本が、少しでもお役に立てれば幸いです。
[書き手]池上彰