書評
『上海オーケストラ物語―西洋人音楽家たちの夢』(春秋社)
上海の租界に作られた交響楽団の歴史を追跡した労作だ。ヨーロッパの音楽がどのように東洋の町で演奏されるようになったのか。地道な資料調査にもとづき、その経緯が詳細に描き出された。
一八六〇年代、上海在住の西洋人によるアマチュア音楽活動がきっかけであった。本来、欧米人による、欧米人のためのものであったが、やがて、中国人音楽家も活動に加わり、西洋音楽が現地の住民たちにも受け入れられるようになった。日本軍支配下でも演奏は続けられていた。
この交響楽団の歴史は中国ではほとんど注目されることはなく、欧米でも先行研究は珍しい。本書はその全貌を復元したのみならず、演奏者たちの心情にまで立ち入って、音楽活動の持つ意味を探った。
【この書評が収録されている書籍】
一八六〇年代、上海在住の西洋人によるアマチュア音楽活動がきっかけであった。本来、欧米人による、欧米人のためのものであったが、やがて、中国人音楽家も活動に加わり、西洋音楽が現地の住民たちにも受け入れられるようになった。日本軍支配下でも演奏は続けられていた。
この交響楽団の歴史は中国ではほとんど注目されることはなく、欧米でも先行研究は珍しい。本書はその全貌を復元したのみならず、演奏者たちの心情にまで立ち入って、音楽活動の持つ意味を探った。
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