書評

『SNS選挙という罠: 自分の頭で考え直すために』(平凡社)

  • 2025/07/14
SNS選挙という罠: 自分の頭で考え直すために / 物江 潤
SNS選挙という罠: 自分の頭で考え直すために
  • 著者:物江 潤
  • 出版社:平凡社
  • 装丁:新書(208ページ)
  • 発売日:2025-06-17
  • ISBN-10:4582860842
  • ISBN-13:978-4582860849
内容紹介:
二〇二四年一一月の兵庫県知事選では、選挙前の予想を覆し斎藤元彦氏が再選を果たした。そのとき、SNSではいったい何が起こっていたのか?SNS選挙の構造と危険性を検証するとともに、ネット上… もっと読む
二〇二四年一一月の兵庫県知事選では、選挙前の予想を覆し斎藤元彦氏が再選を果たした。そのとき、SNSではいったい何が起こっていたのか?SNS選挙の構造と危険性を検証するとともに、ネット上に溢れる情報との向き合い方を「自立の思想」を論じた吉本隆明の言葉から考える。虚実入り混じるSNS選挙の時代に私たちは何を信じればよいのか?

目次
第一章 SNS選挙の問題点
第二章 兵庫県知事選を振り返る
第三章 ストーリー参加型選挙の危険性
第四章 戦後最大の思想家・吉本隆明
第五章 偽りのストーリーを破壊する
第六章 自立の思想
選挙が変だ。メディアの予想は外れっぱなし。兵庫県知事が再選、石丸候補が都知事選で躍進、都議選で自民党が惨敗だ。極論がSNSを飛び交う≪ストーリー参加型選挙≫の危険な本性に目を向けるべきだ。

ある候補を急に推し始める。政治に関心がありいいことか。いや、SNSの罠かも。情報の溢れるネットでは極論が生き残る。単純で怪しいストーリー。見える世界の見えない裏側を語る陰謀論だ。それを知る優越感。過激に盛り上がる小集団が群生する。SNS選挙の主役だ。

著者は言う。吉本隆明に学べ。吉本は戦後知識界の巨人。なぜか?

吉本は戦後、自らの軍国思想を清算し、共産党や戦後民主主義を批判し、転向知識人を告発した。流通するストーリーに抗う「自立」を唱えた。≪吉本の政治思想には全く共感でき≫ないとする著者は、でも、吉本が日常の生活を拠点としたことを評価する。ストーリーの仕掛けを見破り切り返す彼の手法を学ぼう。

メディア・リテラシーでは、フェイクニュースや陰謀論に対抗不能。吉本を真似して、SNSのふりまくストーリーと戦う思考の拠点を各人が築くしかない。慧眼である。
SNS選挙という罠: 自分の頭で考え直すために / 物江 潤
SNS選挙という罠: 自分の頭で考え直すために
  • 著者:物江 潤
  • 出版社:平凡社
  • 装丁:新書(208ページ)
  • 発売日:2025-06-17
  • ISBN-10:4582860842
  • ISBN-13:978-4582860849
内容紹介:
二〇二四年一一月の兵庫県知事選では、選挙前の予想を覆し斎藤元彦氏が再選を果たした。そのとき、SNSではいったい何が起こっていたのか?SNS選挙の構造と危険性を検証するとともに、ネット上… もっと読む
二〇二四年一一月の兵庫県知事選では、選挙前の予想を覆し斎藤元彦氏が再選を果たした。そのとき、SNSではいったい何が起こっていたのか?SNS選挙の構造と危険性を検証するとともに、ネット上に溢れる情報との向き合い方を「自立の思想」を論じた吉本隆明の言葉から考える。虚実入り混じるSNS選挙の時代に私たちは何を信じればよいのか?

目次
第一章 SNS選挙の問題点
第二章 兵庫県知事選を振り返る
第三章 ストーリー参加型選挙の危険性
第四章 戦後最大の思想家・吉本隆明
第五章 偽りのストーリーを破壊する
第六章 自立の思想

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初出メディア

毎日新聞

毎日新聞 2025年7月12日

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