書評
『リベラルアーツと外国語』(水声社)
リベラルアーツはしばしば「一般教養」と訳される。とはいえ、20世紀末からバブル崩壊後の経済の逼迫のなかで、実践力や即戦力が求められ、劣勢に追いこまれていた。だが、このところ「教養」を見直す機運もあり、昨年、中部大学では「創造的リベラルアーツセンター」が設立され、シンポジウムが開催された。
パネリストの鳥飼玖美子は欧州評議会の用いる「複言語主義」を頼りに、英語教育だけに走りがちな世の中に警鐘をならす。韓国ドラマ、映画を字幕翻訳で見ているだけで、異質性と対話できるという。
小倉紀蔵は「自己同一性」と訳されるアイデンティティは韓国語では「正体性」という訳語になると指摘する。隣国との相互理解をめざすリベラルアーツは、「正義」よりも「尊厳」を学ぶべきだという。
日本語が第三外国語だというロバート・キャンベルは、パブリック・ヒューマニティーズに注目する。黒人差別の犠牲者やホームレスの路上死亡者をメモリーとして共有することも外国語学習の大事な滋養になる。
テーマにそう寄稿もあり、21世紀に相応しいリベラルアーツへの熱意を感じる。
パネリストの鳥飼玖美子は欧州評議会の用いる「複言語主義」を頼りに、英語教育だけに走りがちな世の中に警鐘をならす。韓国ドラマ、映画を字幕翻訳で見ているだけで、異質性と対話できるという。
小倉紀蔵は「自己同一性」と訳されるアイデンティティは韓国語では「正体性」という訳語になると指摘する。隣国との相互理解をめざすリベラルアーツは、「正義」よりも「尊厳」を学ぶべきだという。
日本語が第三外国語だというロバート・キャンベルは、パブリック・ヒューマニティーズに注目する。黒人差別の犠牲者やホームレスの路上死亡者をメモリーとして共有することも外国語学習の大事な滋養になる。
テーマにそう寄稿もあり、21世紀に相応しいリベラルアーツへの熱意を感じる。
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