書評

『物語 パリの歴史-「芸術と文化の都」の2000年』(中央公論新社)

  • 2025/06/17
物語 パリの歴史-「芸術と文化の都」の2000年 / 福井 憲彦
物語 パリの歴史-「芸術と文化の都」の2000年
  • 著者:福井 憲彦
  • 出版社:中央公論新社
  • 装丁:新書(266ページ)
  • 発売日:2021-08-18
  • ISBN-10:4121026586
  • ISBN-13:978-4121026583
内容紹介:
古代ローマのカエサルのガリア遠征に始まり、百年戦争、ルネサンス、絶対王政、フランス革命など、常に世界史の主要な舞台として繁栄してきたパリ。「芸術文化の都」として、一億人にものぼる… もっと読む
古代ローマのカエサルのガリア遠征に始まり、百年戦争、ルネサンス、絶対王政、フランス革命など、常に世界史の主要な舞台として繁栄してきたパリ。「芸術文化の都」として、一億人にものぼるという、世界で最も多くの旅行者を惹きつける魅力はどのように形成されたのか。歴史を彩る王たち、たび重なる戦争と疫病の危機、そして文学や思想、芸術、建築……。フランス史の碩学とともに訪ねる二〇〇〇年の歴史の旅。
ルーヴル美術館はもともと城だったが、16世紀、移動生活が多かったフランソワ一世が主たる居城として明示すべく大改修を始めたという。

事業は、アンリ二世とその王妃カトリーヌ・ド・メディシスにも受け継がれ、宮殿と庭園は拡大されていった。とくにフィレンツェのメディチ家出身の王妃は、都市の美化に、ルネサンス本場の人として熱意を燃やしたらしい。やがて後世には、そこから西に真っ直ぐ延びるシャン・ゼリゼの開発にもつながっていく。

中世以来のパリには、広場空間はあまりなかった。ノートルダム大聖堂の前にもなく、ことさら大きく見上げられたという。17世紀のルイ一四世のもとで、広場が設けられた。

今日のパリを見るうえで、ナポレオン三世とセーヌ県知事オスマンによる大改造は特筆もの。道路開設と地下にある上下水道整備と配管が実施された。建築・公園・街路樹などが整然と計画され、ガス灯の照明が岩倉使節団の心を打ったという。

ローマ都市に起源するパリには、殉教の丘モンマルトルがあり、中世は学術文化の都だった。パリを愛する歴史家が「芸術と文化の都」の2000年を熱く語っているのが心地よい。
物語 パリの歴史-「芸術と文化の都」の2000年 / 福井 憲彦
物語 パリの歴史-「芸術と文化の都」の2000年
  • 著者:福井 憲彦
  • 出版社:中央公論新社
  • 装丁:新書(266ページ)
  • 発売日:2021-08-18
  • ISBN-10:4121026586
  • ISBN-13:978-4121026583
内容紹介:
古代ローマのカエサルのガリア遠征に始まり、百年戦争、ルネサンス、絶対王政、フランス革命など、常に世界史の主要な舞台として繁栄してきたパリ。「芸術文化の都」として、一億人にものぼる… もっと読む
古代ローマのカエサルのガリア遠征に始まり、百年戦争、ルネサンス、絶対王政、フランス革命など、常に世界史の主要な舞台として繁栄してきたパリ。「芸術文化の都」として、一億人にものぼるという、世界で最も多くの旅行者を惹きつける魅力はどのように形成されたのか。歴史を彩る王たち、たび重なる戦争と疫病の危機、そして文学や思想、芸術、建築……。フランス史の碩学とともに訪ねる二〇〇〇年の歴史の旅。

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初出メディア

毎日新聞

毎日新聞 2021年10月23日

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