書評

『古代ギリシアのいとなみ: 都市国家の経済と暮らし』(刀水書房)

  • 2025/07/08
古代ギリシアのいとなみ: 都市国家の経済と暮らし / レオポル・ミジョット
古代ギリシアのいとなみ: 都市国家の経済と暮らし
  • 著者:レオポル・ミジョット
  • 翻訳:佐藤 昇
  • 出版社:刀水書房
  • 装丁:単行本(270ページ)
  • 発売日:2025-01-18
  • ISBN-10:4887084773
  • ISBN-13:978-4887084773
内容紹介:
古代ギリシア都市(ポリス)の経済と暮らしを鮮やかに解き明かす一冊――フランス発、世界3ヵ国で翻訳された必読のガイドが日本上陸!大学生向け、そして一般読者向けの手引書。一千年紀にわた… もっと読む
古代ギリシア都市(ポリス)の経済と暮らしを鮮やかに解き明かす一冊――フランス発、世界3ヵ国で翻訳された必読のガイドが日本上陸!

大学生向け、そして一般読者向けの手引書。一千年紀にわたって営まれてきた古代ギリシア都市(ポリス)にフォーカスし、その古代世界の経済と暮らしを現代読者に届ける

導入
第一章 ギリシア諸都市と経済
一 恒常的条件と制約要素
二 経済とオイコノミア
三 都市(ポリス)における経済的な空間
第二章 農業の世界
一 農作業と農散文
二 食料と用法
三 土地の経営
四 自給自足と市場
第三章 手工業と関連事業
一 私的工房
二 公的事業
第四章 交易
一 交易の条件
二 交易のレベル
三 商取引の世界
四 公的介入
結論
本書は、論点が明快簡潔に提示され、まさしく入門書にふさわしい。

まずは、都市経済の構造が明晰(めいせき)に説かれ、次に伝統的な区分にもとづいて、農業、手工業、交易の特徴と傾向が明らかにされる。農業は「自然の秩序を尊重する」ことを基本とした。手工業は「自然の産物をテクナイ(技巧)によって加工する」ことだった。交易は、「いつでも自分たちに適切に物資が供給される」ために諸都市が交易を監視し、規制し、保護し、推奨するのは当然だった。

ギリシアの人々は都市という枠組みのなかで自分たちの経済活動をどのように理解し、どのように組織していったのか、そこに焦点がある。

生産と交易における進歩は、緩やかで、一定ではなく、上り坂も下り坂もあり、地域や社会層によって常に異なっていた。人口の増大、硬貨製造の拡散、多様化する生業(なりわい)、都市化の進展、輸送力や安全性の改善、識字率や科学的知識の向上などに現れていくという。その世界はより大きな政治的枠組みに開かれていき、「ローマの平和」にまでたどり着く。

古代ギリシアのいとなみから地中海世界帝国が生成する過程は実に分かりやすい。
古代ギリシアのいとなみ: 都市国家の経済と暮らし / レオポル・ミジョット
古代ギリシアのいとなみ: 都市国家の経済と暮らし
  • 著者:レオポル・ミジョット
  • 翻訳:佐藤 昇
  • 出版社:刀水書房
  • 装丁:単行本(270ページ)
  • 発売日:2025-01-18
  • ISBN-10:4887084773
  • ISBN-13:978-4887084773
内容紹介:
古代ギリシア都市(ポリス)の経済と暮らしを鮮やかに解き明かす一冊――フランス発、世界3ヵ国で翻訳された必読のガイドが日本上陸!大学生向け、そして一般読者向けの手引書。一千年紀にわた… もっと読む
古代ギリシア都市(ポリス)の経済と暮らしを鮮やかに解き明かす一冊――フランス発、世界3ヵ国で翻訳された必読のガイドが日本上陸!

大学生向け、そして一般読者向けの手引書。一千年紀にわたって営まれてきた古代ギリシア都市(ポリス)にフォーカスし、その古代世界の経済と暮らしを現代読者に届ける

導入
第一章 ギリシア諸都市と経済
一 恒常的条件と制約要素
二 経済とオイコノミア
三 都市(ポリス)における経済的な空間
第二章 農業の世界
一 農作業と農散文
二 食料と用法
三 土地の経営
四 自給自足と市場
第三章 手工業と関連事業
一 私的工房
二 公的事業
第四章 交易
一 交易の条件
二 交易のレベル
三 商取引の世界
四 公的介入
結論

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初出メディア

毎日新聞

毎日新聞 2025年5月3日

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