――0歳から100歳まで英語学習・生涯学習を支援する「紅玉式」代表として、学びの魅力を発信している池田紅玉先生。本書は、英語音声学とバイリンガル子育てが専門の先生が、「孫育ては祖父母育て」ということで、孫と一緒にバーバとジージの生活もステップアップする方法を82個紹介しています。ここでは、よく話題になる小さなお子様の地頭を伸ばすヒントを、特に英語、算数、読み聞かせにしぼって聞いてみました。
――英語学習は、なるべく早く始めた方が良い?
幼い子どもの聞き取り能力と、発音の再生能力は抜群です。しかし、幼いほど「速く習得できるが、忘れるのも速い」のです。大切なのは、始める年齢にかかわらず、ゆったりとした気持ちで、良質な入力を長期的に続けることです。歯磨きや、食事を毎日するように、ごく自然のこととして英語を生活に取り入れる工夫によって、言語能力が最大限に伸びると思います。苦手だ、だから嫌いだ、になってしまわないように工夫しましょう。私が筑波大付属小で英語の究授業をした時も、腹話術の人形を使ったり、歌を歌ったり、とにかく明るく楽しい雰囲気を心がけました。
――算数が得意になるには、算数の塾に通わせると良い?
語学と同じで、算数や他の勉強も、楽しく継続することが大切です。張り切って始めても、すぐに辞めてしまってはもったいないです。数の概念を身に着ける段階なら、ご家庭でも十分できます。そして、小さな成功体験を積み重ねて、楽しい、もっとやりたい、と思えるようにしてください。本の中でいろいろな方法を紹介していますが、十玉そろばんや百玉そろばんが特におすすめです。
――計算ばかりやっていて、応用問題が解けるようになるの?
パソコンがあるから、そろばんは必要ない、と考える方もいらっしゃるようですが、どのような時代でも、学びの基本はアナログだと私は思います。応用問題を解けるようになる前段階として、しっかり頭を動かす、手を動かすことが大切です。「学問に王道なし」と言うと、若い世代には古いと笑われてしまうのですが、タイパ、コスパばかり追求する今の流行りには疑問を感じています。どんなに世の中が便利になろうと、子どもがたどる成長過程は変わることはありません。親世代や祖父母世代の方々は、自身を持ってご自分のやり方で今の子どもを育てていって良いのです。
――本の読み聞かせは、いつまで続ければ良い?
字を覚えて自分で本を読めるようになってからでも、読み聞かせは続けてください。本好きになるだけでなく、コミュニケーション能力の向上にも役立ちます。小学生になったら、時には子どもに本を朗読してもらうのも楽しいものです。無理強いするのではなく、遊びの一つとして読んで、たくさん褒めてやりましょう。
出生率がどんどん下がっているこの時代に、孫に恵まれるのは、奇跡と言っても良いと思っています。せっかく出会えた「奇跡の孫」ですから、一緒に人生を楽しんでいきたいなと。この本は、そのお手伝いになるようにという思いから書きました。孫と遊ぶのは体力勝負ですが、子育て時代には難しかった「待つ」「見守る」「寄り添う」というかかわり方が、孫育てでは自然とできている気がします。どうぞ、読者の皆さまも、お孫さんと過ごす日々を思い切り楽しみ、老化予防に取り組んでください。これから子育てを始めようという若い方たちもこの本を手に取って、祖父母と一緒に読んでいただきたいです。バーバ、ジージを大いに頼って子育てを楽しんでください。
2025年4月 東京にて 池田紅玉