1『戦争語彙集』(岩波書店)
言葉の意味をも変える異常事態二〇二二年二月にロシアによる侵略戦争が始まると、無数の人々がウクライナ各地から戦火を逃れ命からがら西部の街リヴィウに押し寄せてきた。詩人スリヴィンスキー(一九七八年生まれ…
言葉の意味をも変える異常事態二〇二二年二月にロシアによる侵略戦争が始まると、無数の人々がウクライナ各地から戦火を逃れ命からがら西部の街リヴィウに押し寄せてきた。詩人スリヴィンスキー(一九七八年生まれ…
社会問題の虚偽、がんがん暴きます著者はイタリアの花売り娘を母として生まれ、今は幕張に住み、立ち食いそばのバイトと大学講師をしています。姓もなんだか嘘(うそ)くさい感じがします。 ところが本書は、社会…
スティーヴ・エリクソン(Steve Erickson 1950- )アメリカの作家。『彷徨(さまよ)う日々』(1985)でデビュー。空間がよじれたロサンゼルスを描く『ルビコン・ビーチ』(1986)、ヒトラーを扱った歴史改変小説…
『梁塵秘抄』――この素敵な本は、題で随分ソンをしているように思う。たまに持って歩いていると、若い友人たちから不思議そうな目で見られる。「わっ、さすが、モト古典の先生!」「なにそれ、宗教関係の本?」もの…
一九九七年、唐十郎は横浜国立大学教授に就任し、初講義で教室の黒板をぶち破って登場した。この唐のパフォーマンスは当時マスコミで大きく報道された。そして本年一月、唐教授は赤い木馬に乗って最終講義に現れ、…
実証実験を繰り返してきた祖先文字記録のない先史を人類史としてとらえ直す著作が出版界で快進撃を続けている。歴史学者Y・N・ハラリ『サピエンス全史』や進化心理学者S・ピンカー『暴力の人類史』、進化生物学者J…
この記事を読むことができているみなさんは、おそらく、文字が読めているのでしょう。しかし世の中には、読むことに困難を抱えている人々がいます。難読症(ディスレクシア)、過読症、失読症、共感覚、幻覚、認知症…
他者の声に漂流せず自分で人生の物語を紡いでゆく近所の通学路を歩いていると、向こうから女の子が二人駆けてきた。小学二年生くらいだろうか。追いかける子が、後方から息を切らして叫んだ。「なんでそんなに速く…
外部を招き入れて理解を実現著者の名前を見ただけで難しかろうと敬遠するのが無難とわかっていながら今回はあえて取り上げる。「天然知能」という言葉で、私が生きものの感覚として大事にしていることを論理的に考…
尊い家族への無自覚な暴力スマトラ沖地震で両親を失ったクマさんことクマラさんは、十八歳のとき来日し、自動車整備士として働いていた。夫を病で亡くしたミユキさんと彼は、東日本大震災時にボランティアとして出…