書評
『鳥打ちも夜更けには』(河出書房新社)
奇想天外、政治的な寓話
舞台は「架空の港町」と呼ばれる、とある島。そこでは、町長の意向を受け、主要産業を漁業から観光に変えて、花畑で育つアゲハチョウをその目玉にしている。ゆえに、アゲハを捕食する海鳥は、厳しく制限されなければならず、吹き矢で海鳥を殺す仕事――「鳥打ち」――が必要不可欠な仕事となる。沖山、保田、天野の3人の鳥打ちが主たる登場人物。沖山が語り手である。3人はそれぞれ鳥打ちについての思想を持っている。その差異が、島に不穏な空気をもたらし、最後に待っているのは、奇想天外な破局だった……。
稠密(ちゅうみつ)な文章がいい。それから、こうした寓話こそが、すぐれて政治的であることを再確認させてくれる。期待大。
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