書評
『愛と情熱の日本酒』(ダイヤモンド社)
焼酎ブームの陰で、日本酒は売り上げが落ち込んでいる。73年に最大だった販売量は半分になった。
ところがこと味の点では、現在は日本酒ファンにとってうれしい時代。終戦後の米不足時代に始まった糖類添加ベタベタの粗悪酒で日本酒イメージは地に落ちたが、反動で「淡麗辛口」や高額な大吟醸がもてはやされ、一息ついた最近は、高品質かつ手頃な銘柄が続々登場している。本書は、目下人気の九つの小さな蔵を訪ね、作り手の情熱を丹念に描き出した感動のルポルタージュである。
巻末に著者オススメ百選も付録され、評価は類書中、的確さで群を抜く。「リンゴの蜜を思わせる、甘い風味が長くたなびき……」とは我が愛飲の「初亀」評。文体もキリリと締まり、熟成した銘酒を思わせる。注も丹念。
「日本酒新時代のプリンス」「酒造り中は気迫で“行っちゃってる目”の専務」など登場人物も個性が際立つ。格好の入門書だ。
ところがこと味の点では、現在は日本酒ファンにとってうれしい時代。終戦後の米不足時代に始まった糖類添加ベタベタの粗悪酒で日本酒イメージは地に落ちたが、反動で「淡麗辛口」や高額な大吟醸がもてはやされ、一息ついた最近は、高品質かつ手頃な銘柄が続々登場している。本書は、目下人気の九つの小さな蔵を訪ね、作り手の情熱を丹念に描き出した感動のルポルタージュである。
巻末に著者オススメ百選も付録され、評価は類書中、的確さで群を抜く。「リンゴの蜜を思わせる、甘い風味が長くたなびき……」とは我が愛飲の「初亀」評。文体もキリリと締まり、熟成した銘酒を思わせる。注も丹念。
「日本酒新時代のプリンス」「酒造り中は気迫で“行っちゃってる目”の専務」など登場人物も個性が際立つ。格好の入門書だ。
朝日新聞 2006年2月5日
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