解説
『発明マニア』(毎日新聞社)
「日々の暮しが少しでもよくなるために、一人ひとりがどのように生きたらよいか」
米原万里が両親から引き継いだ人生の課題は、これであった。
病いの床について動けなくなった彼女は、「うんとセコイ発明でこの世の大問題を解決できないだろうか」と夢想する。彼女が自分で描いた挿絵を添えてここに提出した一一九の発明は、いずれも愉快かつ珍妙だが、しかしやがてその奥から、読者の耳に、「愚かなくせに他人を踏みつけにして恥じない連中を、どうしたら正道に引き戻せるか」と、必死に叫ぶ彼女の悲痛な声が届くはずである。
【この解説が収録されている書籍】
米原万里が両親から引き継いだ人生の課題は、これであった。
病いの床について動けなくなった彼女は、「うんとセコイ発明でこの世の大問題を解決できないだろうか」と夢想する。彼女が自分で描いた挿絵を添えてここに提出した一一九の発明は、いずれも愉快かつ珍妙だが、しかしやがてその奥から、読者の耳に、「愚かなくせに他人を踏みつけにして恥じない連中を、どうしたら正道に引き戻せるか」と、必死に叫ぶ彼女の悲痛な声が届くはずである。
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初出メディア

米原万里展「ロシア語通訳から作家へ」図録 2008年10月刊
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