書評

『この熾烈なる無力を アナレクタ4』(河出書房新社)

  • 2026/10/08
この熾烈なる無力を アナレクタ4 / 佐々木 中
この熾烈なる無力を アナレクタ4
  • 著者:佐々木 中
  • 出版社:河出書房新社
  • 装丁:単行本(308ページ)
  • 発売日:2012-08-18
  • ISBN-10:4309245994
  • ISBN-13:978-4309245997
内容紹介:
この熾烈なる無力を : 2011-2012

藝術と政治を問う極度な緊張から、不意の笑顔と共にゆるやかに歩む対話篇まで。この上なく俊敏なフットワークを示す、佐々木中の「書いたこと語ったこと」の集成、最新刊。

ALL REVIEWS経由で書籍を購入いただきますと、書評家に書籍購入価格の0.7~5.6%が還元されます。

物書く人の現在、縦横に捉える

「アナレクタ」というのは「拾遺余録」の意味。佐々木による「アナレクタ」のシリーズも4冊目になる。

様々なタイプの文章が収録されている。誤解して欲しくはないが、振れ幅が大きい。もっとも緻密で、読む側も集中力を要するのは、『古井由吉自撰(じせん)作品』の解説のために書かれた「古井由吉、災厄の後の永遠」だろう。対照的に、もっともリラックスして読めるのは、女優・相沢紗世との対話ではないかと思う。

佐々木中の小説は、日本語を用いた表現の現場へと常に読者を送り返し続けるし、彼の書いた思想書も、どこか読者を原点回帰させるところがある。

だが、アナレクタ・シリーズにはそれがない。いま生きて呼吸している、物を書く人の現在の姿ができるかぎりそのまま現れている。

佐々木のことだから一筋縄にはいかない。太古の文書の話から、震災後の文学をめぐる話題まで、縦横に移動する。

足取りが軽やかだ、というのではない。どちらかというと重々しく、必要に応じて動き、筋を通しながら佐々木は移動する。その振幅の見事さに、つい引き込まれる。
この熾烈なる無力を アナレクタ4 / 佐々木 中
この熾烈なる無力を アナレクタ4
  • 著者:佐々木 中
  • 出版社:河出書房新社
  • 装丁:単行本(308ページ)
  • 発売日:2012-08-18
  • ISBN-10:4309245994
  • ISBN-13:978-4309245997
内容紹介:
この熾烈なる無力を : 2011-2012

藝術と政治を問う極度な緊張から、不意の笑顔と共にゆるやかに歩む対話篇まで。この上なく俊敏なフットワークを示す、佐々木中の「書いたこと語ったこと」の集成、最新刊。

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初出メディア

日本経済新聞

日本経済新聞 2012年10月10日

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