書評
『この熾烈なる無力を アナレクタ4』(河出書房新社)
物書く人の現在、縦横に捉える
「アナレクタ」というのは「拾遺余録」の意味。佐々木による「アナレクタ」のシリーズも4冊目になる。様々なタイプの文章が収録されている。誤解して欲しくはないが、振れ幅が大きい。もっとも緻密で、読む側も集中力を要するのは、『古井由吉自撰(じせん)作品』の解説のために書かれた「古井由吉、災厄の後の永遠」だろう。対照的に、もっともリラックスして読めるのは、女優・相沢紗世との対話ではないかと思う。
佐々木中の小説は、日本語を用いた表現の現場へと常に読者を送り返し続けるし、彼の書いた思想書も、どこか読者を原点回帰させるところがある。
だが、アナレクタ・シリーズにはそれがない。いま生きて呼吸している、物を書く人の現在の姿ができるかぎりそのまま現れている。
佐々木のことだから一筋縄にはいかない。太古の文書の話から、震災後の文学をめぐる話題まで、縦横に移動する。
足取りが軽やかだ、というのではない。どちらかというと重々しく、必要に応じて動き、筋を通しながら佐々木は移動する。その振幅の見事さに、つい引き込まれる。
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