コラム
張競|2010年今年の三冊『藝術の国日本 画文交響』『六〇年安保メディアにあらわれたイメージ闘争』『戦後日本人の中国像-日本敗戦から文化大革命・日中復交まで』
芳賀徹著『藝術の国日本 画文交響』(角川学芸出版)
書評する機会を逸した三冊。近江八景をはじめ、日本の絵画を文化史的な視野で展望した『藝術の国日本』は絵画と詩歌との響き合いを読み解きながら、のびやかな文章は「画文交響」の美しい旋律になっている。大井浩一著『六〇年安保メディアにあらわれたイメージ闘争』(読売新聞社)
一九六八年はともすれば情緒的に語られているのに対し、『六〇年安保』はその八年前の大衆運動について冷静な分析を行った。経過の事実よりも、新聞報道の精査にもとづき、メディアによって作り上げられたイメージを究明しようとしている。同時代の社会の動き、海外の情勢にも目配りしている。馬場公彦著『戦後日本人の中国像-日本敗戦から文化大革命・日中復交まで』(新曜社)
七百ページを超える大著のなかで、馬場公彦は終戦から日中国交までの日本における中国像という、途轍もない大きな課題に挑戦した。考察の対象が総合雑誌や論壇誌に限定されているとはいえ、そのおもな輪郭をほぼ明らかにすることができた。ALL REVIEWSをフォローする





































