書評
『長江は知っている』(集英社)
ある日天から地に落ちた。詩人である著者がなんの理由もなく追われる身になり、逃亡のすえ捕らえられ、刑務所に入れられた。四カ月後、出所したかと思うと、今度は生き地獄に突き落とされた。ひどいリンチを受け、日々過酷な強制労働をさせられた。
文化大革命を告発する本の例に漏れず、本書にも身の竦(すく)むような暴力が克明に記録されている。文革中は男性よりも女性のほうが凶暴だったと言われているが、著者の体験もその点を証明している。
読みながら人間性とはなにかについて考えさせられた。極限状況に追い込まれると、人間は自らを守るためにいかに攻撃的になるか、まわりの人に対する態度がいかに豹変するかが、生き生きと描かれているからだ。
著者は幸い名誉回復された。しかし彼といっしょに投獄された囚人たちはどうなっただろうか。あの「強姦犯」の女性はいまどこにいるのか。罪を犯したとはいえ、人間としての尊厳はそこまで踏みにじられてよいのだろうか。
【この書評が収録されている書籍】
文化大革命を告発する本の例に漏れず、本書にも身の竦(すく)むような暴力が克明に記録されている。文革中は男性よりも女性のほうが凶暴だったと言われているが、著者の体験もその点を証明している。
読みながら人間性とはなにかについて考えさせられた。極限状況に追い込まれると、人間は自らを守るためにいかに攻撃的になるか、まわりの人に対する態度がいかに豹変するかが、生き生きと描かれているからだ。
著者は幸い名誉回復された。しかし彼といっしょに投獄された囚人たちはどうなっただろうか。あの「強姦犯」の女性はいまどこにいるのか。罪を犯したとはいえ、人間としての尊厳はそこまで踏みにじられてよいのだろうか。
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