コラム
磯田道史「2018 この3冊」|呉座勇一『陰謀の日本中世史』(KADOKAWA)、美川圭『公卿会議 論戦する宮廷貴族たち』(中央公論新社)、橋本五郎『官房長官と幹事長』(青春出版社)
2018 この3冊
(1)『陰謀の日本中世史』呉座勇一著(角川新書)
(2)『公卿会議 論戦する宮廷貴族たち』美川圭著(中公新書)
(3)『官房長官と幹事長 政権を支えた仕事師たちの才覚』橋本五郎著(青春新書)
(1)は歴史書が多く出版されるなか、俗説の陰謀論を学術研究の立場から一蹴しようとした本。複雑化する現代社会を陰謀論で説明する危うさを著者は訴える。しかし、この危うさは世界で広がるばかり。日本でもアメリカでも事実チェックをせずに、陰謀論に傾く人々の姿がみられる。
(2)は学問的な新書だが、古代中世の天皇の朝廷で政治的意思決定がなされる姿を説明した好著。日本はいかなる「会議」の伝統をもつのか。それを知っておかなくては政治も社会も分析できない。
(3)は総理総裁の政権を支える大黒柱である官房長官と幹事長の役割を、今なお政治取材の第一線にいるベテラン政治記者がまとめた一冊。意外にも「最後は大義を持った政治家が強い」と本書にあった。何のためにやるのか。政治家はもっと国民の前で堂々と大義を主張することも必要であろう。
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