コラム
養老 孟司「2018 この3冊」|鈴木大介『脳は回復する』(新潮社)、新井紀子『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』(東洋経済新報社)、南直哉『超越と実存』(新潮社)
2018 この3冊
(1)『脳は回復する 高次脳機能障害からの脱出』鈴木大介著(新潮新書)
(2)『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』新井紀子著(東洋経済新報社)
(3)『超越と実存 「無常」をめぐる仏教史』南直哉著(新潮社)
(1)は闘病記として出色。なにより気が滅入(めい)らないし、表現がじつに上手だから、医師にも介護者にも大いに参考になる。自分は頭が普通だと思っている人も、読んだ方がいいと思う。
(2)は教育関係者必読。日本社会の実情をきちんと報告する本はじつは少ない。あっても嫌われる。この本はデータが明瞭だから嫌いようもない。実際に教育がそうなっているんだから仕方がない。この本での調査結果の先に、本質的に重要な問題がある。だから、まずこの本を読んでもらわないことには、まさに話にならない。
(3)は立派な哲学書であり、仏教思想の入門書でもある。少し読みにくいけれど、時間をかけて読んだらいいと思う。そうすればべつに難しいことは書いてないとわかるはずである。現代人はつくづく無明の闇に沈んでいると思いますなあ。
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