コラム
養老 孟司「2023年 この3冊」毎日新聞|<1>オリヴァー・ミルマン『昆虫絶滅』(早川書房)、<2>スザンヌ・シマード『マザーツリー 森に隠された「知性」をめぐる冒険」(ダイヤモンド社)、<3>ヤマザキマリ『貧乏ピッツァ』(新潮新書)
2023年「この3冊」
<1>オリヴァー・ミルマン『昆虫絶滅』(早川書房)
<2>スザンヌ・シマード『マザーツリー 森に隠された「知性」をめぐる冒険」(ダイヤモンド社)
<3>ヤマザキマリ『貧乏ピッツァ』(新潮新書)
<1>は全世界的な昆虫の減少という事実を総説した報告。一九九〇-二〇二〇の三十年で七―九割、昆虫の数が減少した。こうした環境問題は温暖化が基礎にあるかもしれないが、温暖化のみが原因ではない。私は先進国の人口減少が、昆虫の減少と同根ではないかと疑っている。
<2>は森林の生態で、樹木間の栄養のやりとりやコミュニケーションを扱っている。カナダなので日本とは具体的な事情が違うが、きわめて興味深い参考事例と言えよう。
<3>は軽く読めて深い。食に関する良書は、土井善晴や岩村暢子の著作など、今年はいくつかあったが、本書は食という糸を通して編集されたエッセー集であり、人生論でもある。食はまさに日常茶飯事で、これを上手に楽しむことがいかに人生を豊かにするかが、おのずから伝わってくる。
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