書評
『風水―欲望のランドスケープ』(青土社)
欧米人の読者を想定した風水の入門書。トポスについての煩雑な予言体系を、起源までさかのぼってわかりやすく紹介している。一口に紹介とはいっても、著者の批判が加えられているのは言うまでもない。百年前に書かれたにもかかわらず、現代人にとっても示唆に富む視点が多い。
風水を理解するには中国人の自然観や宇宙認識を知るのが不可欠だ。その考えにもとついて陰陽五行説、八卦図から天象の解釈、地勢の捉え方などについて詳しい説明が行われている。この一冊で風水のすべてがわかるとまではいかないかもしれない。しかしこの空想の体系が何にもとついて作り出されたかについては概ね把握できる。
興味深いのは著者の解釈が思わぬ角度から近代科学精神を逆照射したことだ。十九世紀の人として、著者は風水に対し、基本的には否定的な見方を持っている。とはいえ、近代的合理性を信じて疑わない西洋人がこの呪術的な地理解釈をここまで研究したのもまた驚くべきことである。
【この書評が収録されている書籍】
風水を理解するには中国人の自然観や宇宙認識を知るのが不可欠だ。その考えにもとついて陰陽五行説、八卦図から天象の解釈、地勢の捉え方などについて詳しい説明が行われている。この一冊で風水のすべてがわかるとまではいかないかもしれない。しかしこの空想の体系が何にもとついて作り出されたかについては概ね把握できる。
興味深いのは著者の解釈が思わぬ角度から近代科学精神を逆照射したことだ。十九世紀の人として、著者は風水に対し、基本的には否定的な見方を持っている。とはいえ、近代的合理性を信じて疑わない西洋人がこの呪術的な地理解釈をここまで研究したのもまた驚くべきことである。
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