書評
『中国史談集』(早稲田大学出版部)
嘘のような、本当のエピソードを二十余のテーマに分けて紹介する。前半は宋・明二代の人物や歴史的事件を取り上げ、後半は習俗、刑罰、宗教活動など文化史の細部を描き出した。
皇室の末裔を名乗る詐欺事件、動物捕獲の規則、さまざまな風俗禁止令、宋代中国と江戸日本とが意外なところで類似しているのには驚いた。
中国史上、宦官が政治に介入する例は多くあったが、なかでも明代の宦官の専権ぶりは目にあまるものがある。権力をほしいままにし、民を塗炭の苦しみに陥れた劉瑾。生きているあいだに神として祀られ、祠まで立てられた魏忠賢。小説よりも奇なる史実を通して、歴史の暗部に光が当てられた。明代皇帝の奇癖奇行を記した『暗愚外記』や、にせ倭冠の逸話なども読み応えがある。
入れ墨、男色から、筆禍、誘拐、さまざまな極刑や秘密結社にいたるまで、いくら語っても興味尽きないトピックスばかりである。平明な言葉で自由闊達に語るところに円熟さがうかがえる。
【新版】
【この書評が収録されている書籍】
皇室の末裔を名乗る詐欺事件、動物捕獲の規則、さまざまな風俗禁止令、宋代中国と江戸日本とが意外なところで類似しているのには驚いた。
中国史上、宦官が政治に介入する例は多くあったが、なかでも明代の宦官の専権ぶりは目にあまるものがある。権力をほしいままにし、民を塗炭の苦しみに陥れた劉瑾。生きているあいだに神として祀られ、祠まで立てられた魏忠賢。小説よりも奇なる史実を通して、歴史の暗部に光が当てられた。明代皇帝の奇癖奇行を記した『暗愚外記』や、にせ倭冠の逸話なども読み応えがある。
入れ墨、男色から、筆禍、誘拐、さまざまな極刑や秘密結社にいたるまで、いくら語っても興味尽きないトピックスばかりである。平明な言葉で自由闊達に語るところに円熟さがうかがえる。
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