書評
『絵解き 菜根譚―一〇八の処世訓』(雄山閣)
現代語訳や注釈本を含めて、『菜根譚』ほど出版回数の多い書物はそう多くないであろう。国会図書館の目録を調べると、ヒット数は百以上にものぼる。しかし、おおかたの類書と違って、本書は水墨画による再解釈である。
江戸後期から今日まで『菜根譚』の人気が衰えないのは、明治以降の急速な価値観の転換と関係している。実用主義の人生観、過剰な競争や大量消費を美徳とする近代の価値観と違い、作者、洪応明が唱えたのはまったく逆の生き方である。現実性に乏しいが、現代人の心を癒す力はある。
原作から百八の章句を選び、それぞれ現代語訳と英語訳をつけている。英語になった東洋の人生訓も面白いが、中国出身の画家が描いた水墨画も独特の味がある。
【新版】
【この書評が収録されている書籍】
江戸後期から今日まで『菜根譚』の人気が衰えないのは、明治以降の急速な価値観の転換と関係している。実用主義の人生観、過剰な競争や大量消費を美徳とする近代の価値観と違い、作者、洪応明が唱えたのはまったく逆の生き方である。現実性に乏しいが、現代人の心を癒す力はある。
原作から百八の章句を選び、それぞれ現代語訳と英語訳をつけている。英語になった東洋の人生訓も面白いが、中国出身の画家が描いた水墨画も独特の味がある。
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