書評
『農村医療から世界を診る 良いケアのために』(あけび書房)
農村医療、つまり地域医療の確立こそ医の原点という信念で若月俊一が創設した佐久総合病院の医長として、その意志を継ぐ著者のウェブ雑誌連載記事を編集したものである。『目指せ!看護師副院長』(武弘道編著)の紹介がある。病人の一番近くで優しく接する存在である看護師を医師の協働者とする病院はより良くなるという指摘は鋭い。「佐久病院の礎を築いたのは女性たちだ」ともある。子どもの病気を救うには誰もがかかれる病院が必要と農協婦人部をつくるところから始まる佐久の女性の活動はみごとだ。看護師も婦人部も現場感覚で人間を見る眼をもつ人が良いものを創るという話だ。農村医療はそれを明確な形で呈示し、今後の世界のありようを考えさせる。
患者に対し専門家として何ができるかという以前に、まず人として共に何ができるかと考えるとよい医療になるという例が、認知症で示される。これも今後を示唆する事例だ。コロナ禍で地域医療の重要性はますます明確になってきた。国の監督に従う形になることの多い現状から抜け出し、地域を支える医療、介護を組み立てている現場からの提言には耳を傾けるべきものが多い。
患者に対し専門家として何ができるかという以前に、まず人として共に何ができるかと考えるとよい医療になるという例が、認知症で示される。これも今後を示唆する事例だ。コロナ禍で地域医療の重要性はますます明確になってきた。国の監督に従う形になることの多い現状から抜け出し、地域を支える医療、介護を組み立てている現場からの提言には耳を傾けるべきものが多い。
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