書評
『揺れる輪郭』(早川書房)
現代文学において伝記や手記を取り入れた小説になんらメタフィクショナルな仕掛けがないはずがない。本書の作者らしき「私」はGMBと名乗っており、オーサー・サロゲート(著者代理)とも考えられる。
GMBは昔のサイコセラピスト、ブライスウェイト博士に興味をもち、研究を進めている。そこに舞い込んだのが、博士に治療を受けたという匿名女性の記録ノートだった。
女性は博士の患者だった姉の自殺の原因には彼の治療法があるのではと考え、「レベッカ・スミス」という偽名でセッションに潜入する。ところが、このレベッカ(デュ・モーリアの小説の実体のない人物から名を取っている)という別人格が独り歩きをし始めてしまう。
彼女のノートと交互に現れるのが、GMBによるブライスウェイトの伝記だ。彼は「Kill Yourself(自己を殺せ)」なる著書を書いて売れっ子になるのだが……。
近年ではオランダ作家ペーター・テリンの変幻自伝小説『身内のよんどころない事情により』などにも比肩するフィクションの迷宮である。
GMBは昔のサイコセラピスト、ブライスウェイト博士に興味をもち、研究を進めている。そこに舞い込んだのが、博士に治療を受けたという匿名女性の記録ノートだった。
女性は博士の患者だった姉の自殺の原因には彼の治療法があるのではと考え、「レベッカ・スミス」という偽名でセッションに潜入する。ところが、このレベッカ(デュ・モーリアの小説の実体のない人物から名を取っている)という別人格が独り歩きをし始めてしまう。
彼女のノートと交互に現れるのが、GMBによるブライスウェイトの伝記だ。彼は「Kill Yourself(自己を殺せ)」なる著書を書いて売れっ子になるのだが……。
近年ではオランダ作家ペーター・テリンの変幻自伝小説『身内のよんどころない事情により』などにも比肩するフィクションの迷宮である。
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