書評

『父たちのこと 一九四四年のクラスメイト』(講談社)

  • 2026/10/18
父たちのこと 一九四四年のクラスメイト / 阿部 公彦
父たちのこと 一九四四年のクラスメイト
  • 著者:阿部 公彦
  • 出版社:講談社
  • 装丁:単行本(320ページ)
  • 発売日:2026-07-23
  • ISBN-10:4065441390
  • ISBN-13:978-4065441398
内容紹介:
そこには、私の知らない父の姿があった。21歳、海軍経理学校の卒業後すぐに戦地に赴いた父・阿部克巳が見た「戦争」とは何だったのか。東大文学部教授の著者が父親の手記をもとに書き起こ… もっと読む
そこには、私の知らない父の姿があった。
21歳、海軍経理学校の卒業後すぐに戦地に赴いた
父・阿部克巳が見た「戦争」とは何だったのか。

東大文学部教授の著者が
父親の手記をもとに書き起こした、
圧巻のノンフィクション!

4ヵ月間起居を共にしていた200人もの秋風乗員たちは、たまたま入れ代わりで別の船に乗艦した父の目の前で、一瞬のうちに火柱となって南シナ海に消えた。

「克巳は88歳で亡くなったが、その短いとは言えない生涯を、1年半ほどの軍隊での経験と、とくに艦上での数ヵ月の出来事を生き直すために費やしたようにも思える。その言葉をどう伝えるかあれこれ考えながら、自身の存在の小ささを思い知らされている。」(本書より)

【目次】
第一部 忘れ得ぬこと
第一章 一九四四年八月 マニラ 虐殺事件の真相
第二章 一九四四年一二月 マニラ 逃亡
第三章 一九四四年一二月 マニラ フランクと大司教
第二部 新米主計官
第四章 一九四四年四月 リンガ泊地 有賀艦長と転勤
第五章 一九四四年八月 ミリ 父と会う
第六章 一九四四年六月 ダバオ 秋風乗艦
第七章 一九四四年一一月 ブルネイ 秋風と「美談」
第三部 オルモック輸送作戦
第八章 一九四四年一二月 マニラ 最後の船団
第九章 一九四四年一二月 オルモック 突入
第一〇章 一九四四年一二月 マスバテ 総員退去
第四部 戦後に向けて
第一一章 一九四四年九月 高雄 死と結婚

ALL REVIEWS経由で書籍を購入いただきますと、書評家に書籍購入価格の0.7~5.6%が還元されます。

阿部克巳は、海軍経理学校に学んだのち、一九四四年に主計官として駆逐艦に乗り込んだ。主計官とは、食材管理から給与の袋詰めまで一手に担当した事務方であって、戦闘要員ではないが、それでも生と死の境に直面することは何度もあって、運よくこちら側に踏みとどまり、戦後の日本で八八歳まで長生きした。しかし経理学校同期生五一人のうち、二〇人が戦死している。

本書は彼が残した様々な記録や手紙、証言などに基づいて、克巳の息子、公彦が父と級友たちの経験した戦争とは何だったのか、再構成したものである。克巳は主計官という職業柄、生活の細部に至るまで克明に書き留めており、それが本書でも十分に活(い)かされた。

公彦氏は現在東大教授、英米文学を研究するかたわら、文芸評論家として活躍している。著作は数多いが、このようなノンフィクションを手掛けるのは初めてだという。ここでは想像や感傷は極力抑え、事実そのものに語らせることに徹しているが、それがかえって、何のために戦うのか分からない戦争がもたらした不安や恐怖、苦い思いを鮮やかに浮かびあがらせている。
父たちのこと 一九四四年のクラスメイト / 阿部 公彦
父たちのこと 一九四四年のクラスメイト
  • 著者:阿部 公彦
  • 出版社:講談社
  • 装丁:単行本(320ページ)
  • 発売日:2026-07-23
  • ISBN-10:4065441390
  • ISBN-13:978-4065441398
内容紹介:
そこには、私の知らない父の姿があった。21歳、海軍経理学校の卒業後すぐに戦地に赴いた父・阿部克巳が見た「戦争」とは何だったのか。東大文学部教授の著者が父親の手記をもとに書き起こ… もっと読む
そこには、私の知らない父の姿があった。
21歳、海軍経理学校の卒業後すぐに戦地に赴いた
父・阿部克巳が見た「戦争」とは何だったのか。

東大文学部教授の著者が
父親の手記をもとに書き起こした、
圧巻のノンフィクション!

4ヵ月間起居を共にしていた200人もの秋風乗員たちは、たまたま入れ代わりで別の船に乗艦した父の目の前で、一瞬のうちに火柱となって南シナ海に消えた。

「克巳は88歳で亡くなったが、その短いとは言えない生涯を、1年半ほどの軍隊での経験と、とくに艦上での数ヵ月の出来事を生き直すために費やしたようにも思える。その言葉をどう伝えるかあれこれ考えながら、自身の存在の小ささを思い知らされている。」(本書より)

【目次】
第一部 忘れ得ぬこと
第一章 一九四四年八月 マニラ 虐殺事件の真相
第二章 一九四四年一二月 マニラ 逃亡
第三章 一九四四年一二月 マニラ フランクと大司教
第二部 新米主計官
第四章 一九四四年四月 リンガ泊地 有賀艦長と転勤
第五章 一九四四年八月 ミリ 父と会う
第六章 一九四四年六月 ダバオ 秋風乗艦
第七章 一九四四年一一月 ブルネイ 秋風と「美談」
第三部 オルモック輸送作戦
第八章 一九四四年一二月 マニラ 最後の船団
第九章 一九四四年一二月 オルモック 突入
第一〇章 一九四四年一二月 マスバテ 総員退去
第四部 戦後に向けて
第一一章 一九四四年九月 高雄 死と結婚

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初出メディア

毎日新聞

毎日新聞 2026年10月10日

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