書評
『父たちのこと 一九四四年のクラスメイト』(講談社)
阿部克巳は、海軍経理学校に学んだのち、一九四四年に主計官として駆逐艦に乗り込んだ。主計官とは、食材管理から給与の袋詰めまで一手に担当した事務方であって、戦闘要員ではないが、それでも生と死の境に直面することは何度もあって、運よくこちら側に踏みとどまり、戦後の日本で八八歳まで長生きした。しかし経理学校同期生五一人のうち、二〇人が戦死している。
本書は彼が残した様々な記録や手紙、証言などに基づいて、克巳の息子、公彦が父と級友たちの経験した戦争とは何だったのか、再構成したものである。克巳は主計官という職業柄、生活の細部に至るまで克明に書き留めており、それが本書でも十分に活(い)かされた。
公彦氏は現在東大教授、英米文学を研究するかたわら、文芸評論家として活躍している。著作は数多いが、このようなノンフィクションを手掛けるのは初めてだという。ここでは想像や感傷は極力抑え、事実そのものに語らせることに徹しているが、それがかえって、何のために戦うのか分からない戦争がもたらした不安や恐怖、苦い思いを鮮やかに浮かびあがらせている。
本書は彼が残した様々な記録や手紙、証言などに基づいて、克巳の息子、公彦が父と級友たちの経験した戦争とは何だったのか、再構成したものである。克巳は主計官という職業柄、生活の細部に至るまで克明に書き留めており、それが本書でも十分に活(い)かされた。
公彦氏は現在東大教授、英米文学を研究するかたわら、文芸評論家として活躍している。著作は数多いが、このようなノンフィクションを手掛けるのは初めてだという。ここでは想像や感傷は極力抑え、事実そのものに語らせることに徹しているが、それがかえって、何のために戦うのか分からない戦争がもたらした不安や恐怖、苦い思いを鮮やかに浮かびあがらせている。
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