コラム
磯田道史「2017この3冊」毎日新聞|『経済成長という呪い』ダニエル・コーエン『人工知能は資本主義を終焉させるか』齊藤元章,井上智洋『2050年の技術 英『エコノミスト』誌は予測する』英エコノミスト編集部
2017 この3冊
〈1〉『経済成長という呪い』ダニエル・コーエン著、林昌宏訳(東洋経済新報社・2160円)
〈2〉『人工知能は資本主義を終焉させるか』齊藤元章,井上智洋著(PHP研究所・929円)
〈3〉『2050年の技術 英『エコノミスト』誌は予測する』英エコノミスト編集部著、土方奈美訳(文藝春秋・1836円)
今年は、二、三十年後の世界のあり様がみえてきた年であった。人工知能(AI)研究者の松尾豊はいう。カンブリア紀に眼をもった三葉虫が現れ爆発的に生物を進化させたように「眼のある機械」が登場。これで人間労働の多くがAI搭載のロボットに置き換えられる。産業革命以来、数百年に一度の人類社会の変化が起きる。〈1〉は狩猟→農耕、農耕→工業の変化は一人当たり所得を増加させるが、AIの経済は雇用が機械に奪われるため、貧富の差が開き、普通の人は所得が減る仕組みを証明。〈2〉は、このAIによる「経済的特異点」が生じる未来をさらに解説。本書ではかなり明るく未来が語られるが、現実はそうであろうか。果たして二〇五〇年の世界はいかなるものか。登場しそうな新技術を〈3〉が予想している。激変の時代を歴史家としてしっかりみたい。
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