書評
『食べ物が語る香港史』(新潮社)
本書は香港料理の案内書ではない。料理を通してこの旧植民地の歴史や香港人がたどってきた道を紹介するのがねらいである。飲茶の移り変わり、屋台料理の話も面白いが、世界的な活躍をするファッションデザイナーの移民にまつわる逸話、「世界のトップレストラン十五」にランキングされた料理屋の社史や、干しアワビを作る料理人のサクセスストーリーも興味が尽きない。
香港は移民の町である。グルメ料理にしろ、子どもの頃食べた郷土料理にしろ、それぞれの人にとって食べ物にはさまざまな思い出がある。食べ物を通して香港を捉えるのはいい着眼である。
香港料理の変遷史を知る上でも本書は役に立つ。アヘン戦争から、戦時戦後の貧困時期を経て、七十年代以降の高度成長期にいたるまで、人々の食の好みがどのように変わり、料理がいかに変化したかを、興味深いエピソードをまじえながらわかりやすく語られている、各章の末尾にレストラン、ホテルも紹介されており、香港旅行のガイドブックにもなる。
【この書評が収録されている書籍】
香港は移民の町である。グルメ料理にしろ、子どもの頃食べた郷土料理にしろ、それぞれの人にとって食べ物にはさまざまな思い出がある。食べ物を通して香港を捉えるのはいい着眼である。
香港料理の変遷史を知る上でも本書は役に立つ。アヘン戦争から、戦時戦後の貧困時期を経て、七十年代以降の高度成長期にいたるまで、人々の食の好みがどのように変わり、料理がいかに変化したかを、興味深いエピソードをまじえながらわかりやすく語られている、各章の末尾にレストラン、ホテルも紹介されており、香港旅行のガイドブックにもなる。
【この書評が収録されている書籍】
ALL REVIEWSをフォローする











































