書評
『くまとやまねこ』(河出書房新社)
「ある朝、くまは ないていました。なかよしのことりが、しんでしまったのです。」――悄然(しょうぜん)とするくま、静かに横たわる小鳥。本書は絵本とは思えないほど悲しい場面からはじまる。だが、嘆きの底で時を過ごすうち、いつしか喪(うしな)った存在はくまの中に染み込み、そしてひとつの出会いが、新たな時間を与えてくれる……。
昨年末発表の、全国の絵本店員など1千人に聞いた「第1回MOE絵本屋さん大賞」総合部門、美術賞、文学賞で第1位。紀伊国屋書店スタッフが選ぶ「キノベス2008」でも、大人向けの書籍に交じり堂々の第8位。
『夏の庭』の著者、『よるくま』の絵本作家、絶大な人気を誇る2人の、夢のような組み合わせ。各ページ、文章も絵も心が震えるほど美しい。通常絵本は32ページだが、ゆっくりと再生する姿を描くため、48ページと枚数をとった。「悲しみだけでなく、それを癒やす大いなる時間の力が描かれています。読者の方のご感想を読むとそのことがちゃんと伝わっていて、改めて文の力、絵の力を感じました」と、担当編集者の高木れい子さん。
読者は10代後半から40代がメーン、女性が7割ほど。小学生から90代までの幅広い年齢層から愛読者カードが届く。大切な存在を亡くした体験をつづったものも多く「読者カードを読んで泣いたのは、はじめてかもしれません」と高木さん。
よく見ると紙の地色も印刷で表現されており、その技術に感心。全体はモノクロだが、ページごとに一部だけ、淡いピンクが使われていく。つながっていく命、死と再生のサイクル。この物語のスケールの大きさが、その1色で表現されている。
昨年末発表の、全国の絵本店員など1千人に聞いた「第1回MOE絵本屋さん大賞」総合部門、美術賞、文学賞で第1位。紀伊国屋書店スタッフが選ぶ「キノベス2008」でも、大人向けの書籍に交じり堂々の第8位。
『夏の庭』の著者、『よるくま』の絵本作家、絶大な人気を誇る2人の、夢のような組み合わせ。各ページ、文章も絵も心が震えるほど美しい。通常絵本は32ページだが、ゆっくりと再生する姿を描くため、48ページと枚数をとった。「悲しみだけでなく、それを癒やす大いなる時間の力が描かれています。読者の方のご感想を読むとそのことがちゃんと伝わっていて、改めて文の力、絵の力を感じました」と、担当編集者の高木れい子さん。
読者は10代後半から40代がメーン、女性が7割ほど。小学生から90代までの幅広い年齢層から愛読者カードが届く。大切な存在を亡くした体験をつづったものも多く「読者カードを読んで泣いたのは、はじめてかもしれません」と高木さん。
よく見ると紙の地色も印刷で表現されており、その技術に感心。全体はモノクロだが、ページごとに一部だけ、淡いピンクが使われていく。つながっていく命、死と再生のサイクル。この物語のスケールの大きさが、その1色で表現されている。
朝日新聞 2009年1月4日
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