解説
『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』(角川学芸出版)
多感な少女時代をヨーロッパの古都で小さな外国人としてすごし、やがて母語と外国語の交換現場に第一級の通訳として立ち合うことになった米原万里は、〈国家〉というものにひそかに疑念をもちはじめていた。
プラハのソビエト学校で机を並べていた親友三人の、三十年後の消息を綱渡り式に探し求めているうちに、彼女は〈国家〉と〈国〉とははっきりとちがうこと、そしてたとえば、国境を越えた友情の結びつきが次の時代を育てるかもしれないことなどをたしかめることになる。
人探しの私立探偵が活躍する推理小説のようなおもしろさを備えていると同時に、米原流国家論が成立する過程を精密に綴った報告記でもある。もう一ついえば、これはすばらしい、そして懐かしい、地球規模の友情物語の傑作。
【この解説が収録されている書籍】
プラハのソビエト学校で机を並べていた親友三人の、三十年後の消息を綱渡り式に探し求めているうちに、彼女は〈国家〉と〈国〉とははっきりとちがうこと、そしてたとえば、国境を越えた友情の結びつきが次の時代を育てるかもしれないことなどをたしかめることになる。
人探しの私立探偵が活躍する推理小説のようなおもしろさを備えていると同時に、米原流国家論が成立する過程を精密に綴った報告記でもある。もう一ついえば、これはすばらしい、そして懐かしい、地球規模の友情物語の傑作。
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初出メディア

米原万里展「ロシア語通訳から作家へ」図録 2008年10月
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