書評
『教室を路地に! 横浜国大vs紅テント2739日』(岩波書店)
一九九七年、唐十郎は横浜国立大学教授に就任し、初講義で教室の黒板をぶち破って登場した。この唐のパフォーマンスは当時マスコミで大きく報道された。そして本年一月、唐教授は赤い木馬に乗って最終講義に現れ、定年で退職した。
その間、何が起こっていたか。本書は、唐十郎の大学での活動を巨細に描きだす。横国大に室井尚という稀有の伴走者がいたからこそ可能になった活動であり、その記録なのだ。大学教育の枠組みをこえる現場の興奮が伝わってくる。
初講義での初々しい緊張ぶりに始まり、唐という男の繊細な側面が次々に披露される。唐十郎の人間論としても出色の面白さだ。
ケータイと戦うなど失敗の連続として始まった講義は、最終的に、唐ゼミ★という劇団を一本立ちさせるところまで行き着く。
これは制度として普遍化されえぬ教育論の書である。唐と室井の教育とは、一回限りの荒唐無稽な出会いの演出だったからだ。
その間、何が起こっていたか。本書は、唐十郎の大学での活動を巨細に描きだす。横国大に室井尚という稀有の伴走者がいたからこそ可能になった活動であり、その記録なのだ。大学教育の枠組みをこえる現場の興奮が伝わってくる。
初講義での初々しい緊張ぶりに始まり、唐という男の繊細な側面が次々に披露される。唐十郎の人間論としても出色の面白さだ。
ケータイと戦うなど失敗の連続として始まった講義は、最終的に、唐ゼミ★という劇団を一本立ちさせるところまで行き着く。
これは制度として普遍化されえぬ教育論の書である。唐と室井の教育とは、一回限りの荒唐無稽な出会いの演出だったからだ。
朝日新聞 2005年11月20日
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