書評
『『ジョジョの奇妙な冒険』で英語をたっぷり学ぶッ!』(集英社)
「デ・パルマの大ファンです」。以前、「週刊少年ジャンプ」の作者コメント欄で荒木飛呂彦氏が記していた言葉だ。デ・パルマとは、米国ホラー映画界でカリスマ的な存在だった映像作家だ。荒木氏はクリント・イーストウッドの大ファンであることも公言している。イーストウッドが演じたタフガイの面影がジョジョ・サーガに色濃く感じられるのは、自明の理である。
1987年連載スタートの『ジョジョの奇妙な冒険』は多くのジョジョラーを生み出し、今もなお絶大な人気を誇る。〝アメリカ映画に影響を受けた荒木氏の作品で英語を学ぶ〟という、本書で第3弾となるシリーズ本の主旨は、読者はもちろん原作者にとっても理想的なコラボだろう。しかも世界的ロックギタリスト、マーティ・フリードマン氏が引き続き監修を担当。今回も英語学習本特有の堅苦しさなど微塵もない。
インバウンドが伸び、日本全国どこでも外国人と接する機会が増えた現代。私事で恐縮だが、ある米国人と知り合った際、イーストウッドの代表作「ダーティハリー」の劇中の決めゼリフを口にした途端、一気に場が和んだ。そう、たとえ英語が苦手でも、〝おもてなし〟文化の国民としてスラング英語のフレーズの一つや二つは憶えておくことのメリットとは、そこだ。
「やれやれだぜ」は承太郎をはじめ、ジョジョの主人公が口にするセリフだが、本書では〝Oh Well〟と表現されている。第2弾では〝Give me a break〟と訳されていたのが、シーンに応じ言い換えられていて面白い。ちなみに声優界のレジェンド故・山田康雄は「ダーティハリー3」の吹き替えで、〝marvelous〟を「やれやれ」とアドリブを利かせニヒルに演じていた。荒木氏もおそらく、この吹き替え版を見ていることだろう。
英語を学ぶとなると私も含めて身構える傾向があるが、本書では魅力的な絵と相まって楽しみながら学べるッ。いや、英語で遊べるッ――そんな一冊だ。
[書き手]太田由紀(映画ライター)
[初出媒体]「青春と読書」2024年1月号(2023年12月20日発売)
1987年連載スタートの『ジョジョの奇妙な冒険』は多くのジョジョラーを生み出し、今もなお絶大な人気を誇る。〝アメリカ映画に影響を受けた荒木氏の作品で英語を学ぶ〟という、本書で第3弾となるシリーズ本の主旨は、読者はもちろん原作者にとっても理想的なコラボだろう。しかも世界的ロックギタリスト、マーティ・フリードマン氏が引き続き監修を担当。今回も英語学習本特有の堅苦しさなど微塵もない。
インバウンドが伸び、日本全国どこでも外国人と接する機会が増えた現代。私事で恐縮だが、ある米国人と知り合った際、イーストウッドの代表作「ダーティハリー」の劇中の決めゼリフを口にした途端、一気に場が和んだ。そう、たとえ英語が苦手でも、〝おもてなし〟文化の国民としてスラング英語のフレーズの一つや二つは憶えておくことのメリットとは、そこだ。
「やれやれだぜ」は承太郎をはじめ、ジョジョの主人公が口にするセリフだが、本書では〝Oh Well〟と表現されている。第2弾では〝Give me a break〟と訳されていたのが、シーンに応じ言い換えられていて面白い。ちなみに声優界のレジェンド故・山田康雄は「ダーティハリー3」の吹き替えで、〝marvelous〟を「やれやれ」とアドリブを利かせニヒルに演じていた。荒木氏もおそらく、この吹き替え版を見ていることだろう。
英語を学ぶとなると私も含めて身構える傾向があるが、本書では魅力的な絵と相まって楽しみながら学べるッ。いや、英語で遊べるッ――そんな一冊だ。
[書き手]太田由紀(映画ライター)
[初出媒体]「青春と読書」2024年1月号(2023年12月20日発売)
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