書評
『スーザン・ソンタグ 「脆さ」にあらがう思想』(集英社)
スーザン・ソンタグは、半世紀ほど前に一世を風靡したアメリカの知識人。最先端の感性とひと筋縄で行かない思考回路をそなえている。
一九三三年ニューヨーク生まれのユダヤ系だ。若くに結婚したがすぐに離婚、シングルマザーになった。小説を書いてヒットし、ニューヨーカーほかに評論を寄稿、『反解釈』を出版して高く評価され、アメリカを代表する知性とみなされた。
ベトナム戦争に反対し、女性運動の草わけでもある。お騒がせ系有名人でスキャンダルの種になった。気取ったスノッブはソンタグを持ち歩く。保守派や福音派の苦虫を嚙みつぶしたような表情が目に浮かぶ。
著者の波戸岡氏はアメリカ文学・文化が専門。この困らせ屋で孤独で手のかかる思想家の懐に飛び込み、丁寧にひとつひとつ伝記の裏側を解き明かしていく。キーワードはヴァルネラビリティ(脆弱なこと)。厳しい言葉で批評しつつも、人間は言葉をはみ出ていて、誰もが傷ついているのを忘れないのが彼女だ。
ソンタグの生涯を描く映画が近く製作されるという。最近すっかり過去の一部になりかけていた彼女が、またスポットライトを浴びるのだ。
一九三三年ニューヨーク生まれのユダヤ系だ。若くに結婚したがすぐに離婚、シングルマザーになった。小説を書いてヒットし、ニューヨーカーほかに評論を寄稿、『反解釈』を出版して高く評価され、アメリカを代表する知性とみなされた。
ベトナム戦争に反対し、女性運動の草わけでもある。お騒がせ系有名人でスキャンダルの種になった。気取ったスノッブはソンタグを持ち歩く。保守派や福音派の苦虫を嚙みつぶしたような表情が目に浮かぶ。
著者の波戸岡氏はアメリカ文学・文化が専門。この困らせ屋で孤独で手のかかる思想家の懐に飛び込み、丁寧にひとつひとつ伝記の裏側を解き明かしていく。キーワードはヴァルネラビリティ(脆弱なこと)。厳しい言葉で批評しつつも、人間は言葉をはみ出ていて、誰もが傷ついているのを忘れないのが彼女だ。
ソンタグの生涯を描く映画が近く製作されるという。最近すっかり過去の一部になりかけていた彼女が、またスポットライトを浴びるのだ。
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