書評
『「鬼子」(グイヅ)たちの肖像―中国人が描いた日本人』(中央公論新社)
中国における日本人イメージを図像表象の視点から考察したものだ。同じステレオタイプでも、清末を境に大きな変化があった。清末まで日本人は「文」「武」の二種類に分けられ、「文人」は中国の読書人と変わらないが、「武人」は『水詩伝』の魯智深と同じ格好をしていた。
清末から「鬼子」という言葉が登場したが、最初は西洋人を意味していた。『点石斎画報』に描かれた日本人像には部分的に戯画化があったが、全体として醜悪なものではない。「鬼子」=日本兵という構図ができたのは、満州事変の後。そのあたりの変遷は図像にもとついて丁寧に検討されている。
いたずらに感情の対立を煽るのではなく、冷静に図像を読み解く姿勢に著者の見識が示されている。
【この書評が収録されている書籍】
清末から「鬼子」という言葉が登場したが、最初は西洋人を意味していた。『点石斎画報』に描かれた日本人像には部分的に戯画化があったが、全体として醜悪なものではない。「鬼子」=日本兵という構図ができたのは、満州事変の後。そのあたりの変遷は図像にもとついて丁寧に検討されている。
いたずらに感情の対立を煽るのではなく、冷静に図像を読み解く姿勢に著者の見識が示されている。
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