コラム
鹿島茂「2021年 この3冊」毎日新聞|今橋映子『近代日本の美術思想』(白水社)、小田光雄『近代出版史探索 外伝』(論創社)、山口昌子『パリ日記』(藤原書店)
2021 この3冊
〈1〉今橋映子『近代日本の美術思想 美術批評家・岩村透とその時代 上・下』(白水社)〈2〉『近代出版史探索 外伝』鈴木宏著(論創社)
〈3〉山口昌子『パリ日記 特派員が見た現代史記録1990-2021 第1巻 ミッテランの時代 1990.5-1995.4』(藤原書店)
<1>は博士論文執筆中に遭遇して以来三十年著者が追い続けた岩村透という美術批評・美術教育の先駆者の伝記的集大成。岩村透なかりせば日本の近代美術はなかったはずなのに、死後急速に忘れられたのはなぜか? 「日本のウィリアム・モリス」復権の試み。
<2>は金字塔『近代出版史探索Ⅰ―Ⅴ』の執筆と重なる時期にブログに連載されたⅠ「ゾラからハードボイルドへ」、Ⅱ「謎の作者佐藤吉郎と『黒流』」、Ⅲ「ブルーコミックス論」を「外伝」として編集。ゾラ『ジェルミナール』→ケイン『郵便配達はいつも二度ベルを鳴らす』→カミュ『異邦人』の仏米の往還的影響の指摘は秀逸。
<3>は産経新聞パリ支局長をつとめた著者の膨大な日記の第一巻。第二期ミッテラン政権下で冷戦終結後のヨーロッパの激動に立ち会った証言が克明に記録されている。
【関連オンラインイベント情報】2022/01/30 (日) 14:30 - 16:00 小田 光雄×鹿島 茂、小田光雄『近代出版史探索外伝』(論創社)を読む
書評アーカイブサイト・ALL REVIEWSのファンクラブ「ALL REVIEWS 友の会」の特典対談番組「月刊ALL REVIEWS」、第37回はゲストには評論家/翻訳家の小田 光雄さんをお迎えし、小田さんの最新刊『近代出版史探索外伝』(論創社)を読み解きます。 メインパーソナリティーは鹿島茂さん。
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