書評
『ストロベリーナイト』(光文社)
ノンキャリアでありながら27歳の若さで警視庁捜査1課の警部補となった姫川玲子。直感と行動力を武器とする彼女が、ひとクセもふたクセもある部下らと猟奇的殺人事件を追う。そんなミステリーがただ今絶好調。「最近警察小説が売れているのである程度手応えは感じていましたが、ここまでとは」と販売局販売促進部の白井純孝さん。
06年の単行本刊行時も、有隣堂横浜店の書店員が作成した応援POP効果もあり好調だった。今年(事務局注:本書評執筆は2008年)の9月に文庫化してから加速度的に売り上げを伸ばしており、版元の在庫が不足してしまったことも。
著者は男性だが女性の描き方に定評がある。実際、警察小説としては珍しく読者の半数近くが女性、また全体の3割以上が20代。若い女性から「主人公のキャラクターに極端さがないのがいい。行動や考え方に『わかるわかる』という感じがある」といった声が。一方で脇役はお調子者な部下から女性蔑視(べっし)的同僚まで、個性派ぞろい。「人物造形に厚みがあるからこそ、人間くさい場面でも説得力を持っている。組織内部の描写も丁寧かつ的確で、従来の警察小説ファンの読者も多い」と担当編集者の藤野哲雄さん。
姫川が追う連続殺人事件はかなりむごく、彼女が警察官を目指すきっかけになったエピソードも過酷。だからこそ、果敢に立ち向かう姫川の姿がカッコいいのだ。「残酷な事件を描いても、どこか救われる優しさやユーモアが持ち味。だから辛(つら)い内容でも読後感はいい。そこに新しさを感じます」と藤野さん。本書はシリーズ第1弾。続編となる長編『ソウルケイジ』、短編集『シンメトリー』も好調だ。
06年の単行本刊行時も、有隣堂横浜店の書店員が作成した応援POP効果もあり好調だった。今年(事務局注:本書評執筆は2008年)の9月に文庫化してから加速度的に売り上げを伸ばしており、版元の在庫が不足してしまったことも。
著者は男性だが女性の描き方に定評がある。実際、警察小説としては珍しく読者の半数近くが女性、また全体の3割以上が20代。若い女性から「主人公のキャラクターに極端さがないのがいい。行動や考え方に『わかるわかる』という感じがある」といった声が。一方で脇役はお調子者な部下から女性蔑視(べっし)的同僚まで、個性派ぞろい。「人物造形に厚みがあるからこそ、人間くさい場面でも説得力を持っている。組織内部の描写も丁寧かつ的確で、従来の警察小説ファンの読者も多い」と担当編集者の藤野哲雄さん。
姫川が追う連続殺人事件はかなりむごく、彼女が警察官を目指すきっかけになったエピソードも過酷。だからこそ、果敢に立ち向かう姫川の姿がカッコいいのだ。「残酷な事件を描いても、どこか救われる優しさやユーモアが持ち味。だから辛(つら)い内容でも読後感はいい。そこに新しさを感じます」と藤野さん。本書はシリーズ第1弾。続編となる長編『ソウルケイジ』、短編集『シンメトリー』も好調だ。
朝日新聞 2008年11月16日
朝日新聞デジタルは朝日新聞のニュースサイトです。政治、経済、社会、国際、スポーツ、カルチャー、サイエンスなどの速報ニュースに加え、教育、医療、環境、ファッション、車などの話題や写真も。2012年にアサヒ・コムからブランド名を変更しました。
ALL REVIEWSをフォローする









































