書評
『わたしの外国語学習法』(筑摩書房)
独学で外国語を身につけようとしている人のために
米原万里は卓(すぐ)れた翻訳家でもあった。世界中の書棚に溢れている外国語学習本の中から、彼女が選び出したこのカトー・ロンブの本は、無味乾燥な「すべし」「すべきでない」を列挙した類書とは違って、語学習得の技術を物語にして、うんとおもしろく会得できるように書かれている。その上、逸話や笑話をふんだんにちりばめて、読者を言語学の奥義へと誘い込む。じつはこれは米原万里の方法でもあった。つまり彼女は自分の分身を、この十六の言語を独学で身につけたハンガリーの名通訳者のうちに見つけたわけだった。(初出:米原万里展「ロシア語通訳から作家へ」図録、2008年10月、NPO法人遅筆堂文庫プロジェクト)
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