書評
『中国 現代ことば事情』(岩波書店)
黒客、上網、下崗。いずれも現代中国の流行語である。そのうちの一つでもわかれば、あなたはちょっとした中国通といえるかもしれない。日本語に訳せば、ハッカー、インターネット利用、レイオフという意味、市場経済化が進んでいる中国ではこうした新語は続々と登場している。
流行語・新語は流動的であるという一面は確かにある。しかし大衆の気持ち、時代の感覚を的確にとらえているのもまた事実だ。言論表現が制約を受けた場合、人間はしばしば言葉に過敏になる。大衆が作り出した新語にはユーモアのなかにある種の批判がこめられているのはそのためである。公式発表よりも流行語の方がはるかに世相をよく表している。
本書は『キーワードで読む現代中国』(岩波書店、同時代ライブラリー)の姉妹編。言葉を通して現代中国を紹介し、社会現象の裏に何が隠されたかを読み解こうとするのがねらいである。理詰めではわかりにくいと言われる中国だが、こうして言語表現、発想からアプローチすると、本当の姿がかえってよく見えてくる。
【この書評が収録されている書籍】
流行語・新語は流動的であるという一面は確かにある。しかし大衆の気持ち、時代の感覚を的確にとらえているのもまた事実だ。言論表現が制約を受けた場合、人間はしばしば言葉に過敏になる。大衆が作り出した新語にはユーモアのなかにある種の批判がこめられているのはそのためである。公式発表よりも流行語の方がはるかに世相をよく表している。
本書は『キーワードで読む現代中国』(岩波書店、同時代ライブラリー)の姉妹編。言葉を通して現代中国を紹介し、社会現象の裏に何が隠されたかを読み解こうとするのがねらいである。理詰めではわかりにくいと言われる中国だが、こうして言語表現、発想からアプローチすると、本当の姿がかえってよく見えてくる。
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