書評
『魔女の1ダース―正義と常識に冷や水を浴びせる13章』(新潮社)
正義と常識に冷や水を浴びせる13章
この書もまた米原万里の独壇場、同時通訳業界の抱腹絶倒的裏話の集成である。全巻にさまざまな卓識がちりばめられているが、なかでも〈自分にとって美味しいものは、他人にとっても美味(おい)しいに決まっていると堅く信じて疑わない人々は〉(一四一ページ)手に負えないという指摘は読む者の胸を鋭くえぐる。真の国際交流をめざすなら、自分の流儀は相手の流儀とはちがうというところから始めなければならない。これも米原の生涯にわたる持論の一つだった。
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