書評
『囲市』(クレオ)
この写真は、元・銭湯の内部だろう(ALL REVIEWS事務局注:掲載時は別途写真あり)。いわゆる「銭湯のペンキ絵」のあったあたりが、廃業取壊(とりこわ)しになって露(あら)わになった。
写真集『囲市(かこいまち)』のあとがきに高梨さん自筆の解題のような文章がある。
街中を通過するときに、いつも見ているような、何の変哲もない風景。
しかし、この写真集を見る人は、その一枚一枚から、いままで見ていたようで見ていなかった、街の無意識に気づかされるはずである。
一枚一枚をじっくり見ると、そのそれぞれに奇妙な発見ができるだろう。
パラパラと流して見たなら、いつも通り通り過ぎてきた街しか見えないが、一ページずつに立止(たちど)まって見る。
写真家・高梨豊がなぜこれを撮ったのか? と一枚一枚を、吟味するように見るといい。
一枚一枚に、かならずなにかが見つかる。
青いシートにおおわれた巨大な建築現場に、まめつぶのように映っている人影。
ビルの屋上に降りたつ星形宇宙人。蜃気楼のように現出する異空間、突然「結婚」。
誰にも答えられるクイズのようにではなく、謎の街を解いていくようなたのしさである
写真集『囲市(かこいまち)』のあとがきに高梨さん自筆の解題のような文章がある。
「囲」はタイトにルーズに変幻するがその綻(ほころ)びや透き間から日本社会独特の「世間」を垣間見せることがある。
街中を通過するときに、いつも見ているような、何の変哲もない風景。
しかし、この写真集を見る人は、その一枚一枚から、いままで見ていたようで見ていなかった、街の無意識に気づかされるはずである。
一枚一枚をじっくり見ると、そのそれぞれに奇妙な発見ができるだろう。
パラパラと流して見たなら、いつも通り通り過ぎてきた街しか見えないが、一ページずつに立止(たちど)まって見る。
写真家・高梨豊がなぜこれを撮ったのか? と一枚一枚を、吟味するように見るといい。
一枚一枚に、かならずなにかが見つかる。
青いシートにおおわれた巨大な建築現場に、まめつぶのように映っている人影。
ビルの屋上に降りたつ星形宇宙人。蜃気楼のように現出する異空間、突然「結婚」。
誰にも答えられるクイズのようにではなく、謎の街を解いていくようなたのしさである
朝日新聞 2007年3月25日
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