書評
『仏像のひみつ』(朝日出版社)
この本は「日本の仏像彫刻を鑑賞する方法を初心者に紹介する」目的で作られている。
実は、東京国立博物館で二〇〇五年一月から開催された「親と子のギャラリー 仏像のひみつ」という小さな展覧会が画期的な展示で大好評だった。
この展覧会では、カンタンなチラシがつくられただけでカタログが作られなかったのだが、それを求める声がとても多かったのだそうだ。
「この展示が本になれば、伝説の仏像本になるだろう」と、インターネットのサイトに書き込みをした人があって、それに力づけられて著者は、この仕事をひきうけたと書いている。
この本は「伝説の仏像本」になるだろう。と私は思う。いままで、誰もがする、してしまうような本作りをしなかった。
それがこの本の画期的なところになった。端的に言うなら、情報を減らしたことである。
テクニカルタームをできるかぎり使わず、漢字にはルビをふる。読者の興味を喚起はしても、深追いしない。
図版は、右から7世紀、8世紀、9世紀、11世紀、12~13世紀の仏像のシルエットを横から見たところだ。
「仏像は時代によって、やせたり太ったりする」というのの図解である。あえてこの図を選んだのは、この本のオモシロさの「ひみつ」がここにあらわれていると思ったからだ。
実は、東京国立博物館で二〇〇五年一月から開催された「親と子のギャラリー 仏像のひみつ」という小さな展覧会が画期的な展示で大好評だった。
この展覧会では、カンタンなチラシがつくられただけでカタログが作られなかったのだが、それを求める声がとても多かったのだそうだ。
「この展示が本になれば、伝説の仏像本になるだろう」と、インターネットのサイトに書き込みをした人があって、それに力づけられて著者は、この仕事をひきうけたと書いている。
この本は「伝説の仏像本」になるだろう。と私は思う。いままで、誰もがする、してしまうような本作りをしなかった。
それがこの本の画期的なところになった。端的に言うなら、情報を減らしたことである。
テクニカルタームをできるかぎり使わず、漢字にはルビをふる。読者の興味を喚起はしても、深追いしない。
図版は、右から7世紀、8世紀、9世紀、11世紀、12~13世紀の仏像のシルエットを横から見たところだ。
「仏像は時代によって、やせたり太ったりする」というのの図解である。あえてこの図を選んだのは、この本のオモシロさの「ひみつ」がここにあらわれていると思ったからだ。
朝日新聞 2006年06月25日
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