書評

『祝福』(河出書房新社)

  • 2026/09/02
祝福 / 長嶋 有
祝福
  • 著者:長嶋 有
  • 出版社:河出書房新社
  • 装丁:単行本(208ページ)
  • 発売日:2010-12-11
  • ISBN-10:4309020135
  • ISBN-13:978-4309020136
内容紹介:
女ごころを書いたら、女子以上。ダメ男を書いたら、日本一! 男主人公5人VS女主人公5人で贈る、長嶋有ひとり紅白歌合戦。デビュー10周年を迎える、10冊目の単行本!

丹下
マラソンをさぼる
穴場で
山根と六郎
噛みながら
ジャージの一人
ファットスプレッド
海の男
十時間
祝福

ALL REVIEWS経由で書籍を購入いただきますと、書評家に書籍購入価格の0.7~5.6%が還元されます。

選び抜いた「いいそうなこと」

帯の惹句(じゃっく)がいい。「女ごころを書いたら、女子以上 男(ダメ)を書いたら、日本一!」

長嶋有ほど登場人物の心理の機微に敏感な作家はいない。登場人物のいいそうなことを書く。

ここで注意したいのは「いいそうなこと」である。小学生・男子・10歳であろうと、会社員・女性・35歳であろうと、その人がいいそうなことや考えていそうなことを正確に再現してみせる。言ったことや考えていることではない。その人物が言う可能性の高い言葉を選ぶ、そのチョイスのセンスが抜群だ。

10の短篇を収める。表題作。すべての人物たちはアルファベットで示される。友人の結婚式に行く。SやQや後輩のBと再会する。「新郎バンド」でベースを演奏する。帰宅後、恋人のLに「食事はどうだったか」と訊(き)かれ、ミシュランひとつ星のレストランだったのに「ほとんど食べなかった」と答える……。

エピソードがキレのある会話に挟まれて、次々と湧いてくる。畳み込むような文体で読ませる。

10の諸篇は語り手が男5人に女5人。どちらの性別が語り手でもじつに自然に小説は進む。このあたり、長嶋の真骨頂だろう。
祝福 / 長嶋 有
祝福
  • 著者:長嶋 有
  • 出版社:河出書房新社
  • 装丁:単行本(208ページ)
  • 発売日:2010-12-11
  • ISBN-10:4309020135
  • ISBN-13:978-4309020136
内容紹介:
女ごころを書いたら、女子以上。ダメ男を書いたら、日本一! 男主人公5人VS女主人公5人で贈る、長嶋有ひとり紅白歌合戦。デビュー10周年を迎える、10冊目の単行本!

丹下
マラソンをさぼる
穴場で
山根と六郎
噛みながら
ジャージの一人
ファットスプレッド
海の男
十時間
祝福

ALL REVIEWS経由で書籍を購入いただきますと、書評家に書籍購入価格の0.7~5.6%が還元されます。

初出メディア

日本経済新聞

日本経済新聞 2011年1月12日

ALL REVIEWS 書評講座(オンライン受講) ≫オンラインで参加する
現地満席|オンライン参加OK
「読む」側から、 「書く」側へ。
オンライン参加OK/過去回アーカイブ付。
全12回・途中申込OK。豪華講師陣の書評講座、開催中。
  • 週に1度お届けする書評ダイジェスト!
  • 「新しい書評のあり方」を探すALL REVIEWSのファンクラブ
関連記事
陣野 俊史の書評/解説/選評
ページトップへ