書評

『あのころのデパート』(新潮社)

  • 2026/09/27
あのころのデパート / 長野 まゆみ
あのころのデパート
  • 著者:長野 まゆみ
  • 出版社:新潮社
  • 装丁:文庫(280ページ)
  • 発売日:2016-06-26
  • ISBN-10:4101139547
  • ISBN-13:978-4101139548
内容紹介:
幼い頃は〈よそゆき〉を着て、家族でおでかけするのが休日のお楽しみ。お子様ランチを食べたあとは、屋上遊園地へ。それから十数年後、百貨店員となり、その裏側をたっぷりと経験した。独特の流儀、厳しい労働環境、困ったお客さま……。そして今、ひとりの消費者として思うこと。時代を越えて見つめ続けたデパートの姿とは。懐かしさと驚きが満載!

ALL REVIEWS経由で書籍を購入いただきますと、書評家に書籍購入価格の0.7~5.6%が還元されます。

研修や珍客…独自の目線で

長野まゆみの小説は独特の世界観に染め上げられている。あらゆる小説家の世界は各自オリジナルな世界観の反映だろう、という反論はあろう。ただ、長野さんの小説では、レトロな東京や、もうなくなってしまった風景、お菓子、ファッションなどが、小説世界を構築するための、重要なファクターになっている。だから、長野さんの書くエッセイにはモノに対する彼女の態度が表われていて興味深い。今回のエッセイでは、デパートをめぐる諸事象が対象だ。

作家になる前、長野さんは数年、デパートに勤めていた。そのころのことがまず書かれる。いまのデパートの様子も活写される。違いは歴然。ただ、どちらがいいとか悪いとかではない。新入社員研修の今昔、店内放送の曲の意味、雑誌「暮しの手帖」とデパートの関係、消えてしまったデパートの「大食堂」、オーダーカーテンの高級感や奇矯な振る舞いの珍客に至るまで……。

デパートにはこんなに語るべきことがある。なんだかうらやましい気もする。そして、素朴な言い方になるけれど、長野さんの中には深い「デパート愛」のような感情が流れている。ゆっくり読みたい。
あのころのデパート / 長野 まゆみ
あのころのデパート
  • 著者:長野 まゆみ
  • 出版社:新潮社
  • 装丁:文庫(280ページ)
  • 発売日:2016-06-26
  • ISBN-10:4101139547
  • ISBN-13:978-4101139548
内容紹介:
幼い頃は〈よそゆき〉を着て、家族でおでかけするのが休日のお楽しみ。お子様ランチを食べたあとは、屋上遊園地へ。それから十数年後、百貨店員となり、その裏側をたっぷりと経験した。独特の流儀、厳しい労働環境、困ったお客さま……。そして今、ひとりの消費者として思うこと。時代を越えて見つめ続けたデパートの姿とは。懐かしさと驚きが満載!

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初出メディア

日本経済新聞

日本経済新聞 2012年8月29日

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