書評

『舞台』(講談社)

  • 2026/09/29
舞台 / 西 加奈子
舞台
  • 著者:西 加奈子
  • 出版社:講談社
  • 装丁:文庫(224ページ)
  • 発売日:2017-01-13
  • ISBN-10:4062935821
  • ISBN-13:978-4062935821
内容紹介:
太宰治『人間失格』を愛する29歳の葉太。初めての海外、ガイドブックを丸暗記してニューヨーク旅行に臨むが、初日の盗難で無一文になる。間抜けと哀れまれることに耐えられずあくまでも平然と振る舞おうとしたことで、旅は一日4ドルの極限生活に--。命がけで「自分」を獲得してゆく青年の格闘が胸を打つ傑作長編!

ALL REVIEWS経由で書籍を購入いただきますと、書評家に書籍購入価格の0.7~5.6%が還元されます。

葉蔵がNYを歩いたら…

主人公の名前は「葉太」。この名前をみてピンと来た人は、大の太宰治ファンだろう。『人間失格』の主人公、葉蔵を思わせる。似ているのは名前だけではない。葉太は極度の自意識過剰の青年だ。29歳。そろそろ若さに別れを告げなければならない。
だが葉太は何をするにも恥ずかしさが先になってしまう。こんな時期は誰にでもある。自意識にがんじがらめになっていて、思うように行動できない。話せない。人は少しずつ何かを諦めたりして、自意識の主体としての自分と折り合いをつけていくのだが、葉太にはそんな気配が微塵(みじん)もない。

そんな主人公がニューヨークの街を歩き回る。むろん自意識はいろんな場所で邪魔をする。セントラル・パークで寝転がって本を読みたいと思っても、その「いかにも」感が邪魔をして素直に行動できないのだ。

作者は伸び盛りの小説家。太宰の『人間失格』の主人公が現代に生まれ変わり、ニューヨークを歩けばどうなるか。愉(たの)しんで書いている。こんな形のオマージュもあるのだなと感心した。最後に待ち受ける意外な展開まで、読者を飽きさせない。
舞台 / 西 加奈子
舞台
  • 著者:西 加奈子
  • 出版社:講談社
  • 装丁:文庫(224ページ)
  • 発売日:2017-01-13
  • ISBN-10:4062935821
  • ISBN-13:978-4062935821
内容紹介:
太宰治『人間失格』を愛する29歳の葉太。初めての海外、ガイドブックを丸暗記してニューヨーク旅行に臨むが、初日の盗難で無一文になる。間抜けと哀れまれることに耐えられずあくまでも平然と振る舞おうとしたことで、旅は一日4ドルの極限生活に--。命がけで「自分」を獲得してゆく青年の格闘が胸を打つ傑作長編!

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初出メディア

日本経済新聞

日本経済新聞 2014年1月15日

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