
翻訳家。訳書にエミリー・ブロンテ『嵐が丘』、マーガレット・ミッチェル『風と共に去りぬ1-5巻』(以上新潮文庫)、ヴァージニア・ウルフ『灯台へ』(河出書房新社 世界文学全集2-1)、J.M.クッツェー『恥辱』(ハヤカワepi文庫)、『イエスの幼子時代』『遅い男』、マーガレット・アトウッド『昏き目の暗殺者』『誓願』…もっと読む
『翻訳地帯――新しい人文学の批評パラダイムにむけて』(慶應義塾大学出版会)
鴻巣 友季子現代の翻訳学に必須の一冊Adjudantへの誤訳ひとつが普仏戦争の引き金となった――待望の邦訳書がついに刊行された本書には、そんな記述がある。この語…
書評
『翻訳のダイナミズム:時代と文化を貫く知の運動』(白水社)
鴻巣 友季子科学分野の言語、学知の転移を解く今年は、フランコ・モレッティの『遠読』や池澤夏樹編『日本語のために』など、翻訳と文芸と言語形成に関わる本を…
書評
『遠読――〈世界文学システム〉への挑戦』(みすず書房)
鴻巣 友季子十数年来の世界文学ブームの火付け役「遠読」とは聞き慣れない言葉だが、原典を精密に読むclose reading「精読」に対して、distance(距離)をとっ…
書評
『世界文学とは何か?』(国書刊行会)
鴻巣 友季子翻訳で豊かさを増す「星座」の可変性翻訳大国ニッポンにおいて、外国文学の翻訳に携わる人たち、外国文学を評する人たち、もういっそ翻訳書を読むす…
書評
『小説禁止令に賛同する』(集英社)
鴻巣 友季子「小説はだめなもの」と全力で否定したら、最高の小説になってしまった『小説禁止令に賛同する』に心から賛同する。すばらしい『禁止令』、とんでも…
書評
『生の肯定』(毎日新聞出版)
鴻巣 友季子生活に自慢を、人生に肯定(いいね!)を主人公は、三部作の第一編『どつぼ超然』では、「東京で飄然としていたかった」のである。飄然者となるべく温…
書評
『雪の階』(中央公論新社)
鴻巣 友季子風を孕み滑走する不揃いな結晶たち奥泉光の創作技法には毎作大きな驚きがあるが、『雪の階(きざはし)』の壮大な試みには度肝を抜かれた。作者はこ…
書評
『魔法の夜』(白水社)
鴻巣 友季子月夜は欲望を目覚めさせる「焦がれる」という言葉がある。焼けるような、ひりつくような、熱く惹(ひ)かれる気持ち。ミルハウザーの最新作『Voices…
書評
『ほら、死びとが、死びとが踊る: ヌンガルの少年ボビーの物語』(現代企画室)
鴻巣 友季子豪州の多文化・多民族共生への希望本書の版元は一年に一作ずつ豪州文学を翻訳出版し、十年がかりで全十巻の「オーストラリア現代文学傑作選」を編む…
書評
『闇の河 THE SECRET RIVER』(現代企画室)
鴻巣 友季子書き継がれる三つめの国家神話原題はThe Secret River。「オーストラリアの歴史には密やかな(シークレット)血の河が流れている」という人類学者W…
書評
『坂の途中の家』(朝日新聞出版)
鴻巣 友季子作家・角田光代の真骨頂であり新境地。『坂の途中の家』の恐ろしさとは角田光代さんの小説には、ポジティブな面とかなりダークな面が共存しています…
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『ウォークス 歩くことの精神史』(左右社)
鴻巣 友季子思索と創造の原動力に「歩くこと」の精神史を網羅的に論じた大作である。猿人が直立歩行を始めて以来、数百万年の時を経て、歩行はサバイバルのため…
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『新しい小説のために』(講談社)
鴻巣 友季子先進的で回帰的な「語り」の復権本大著で渾身(こんしん)の力で論じられるのは、小説における人称と視点とそこから来る「私」の問題だ。柄谷行人の…
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『美しき廃墟』(岩波書店)
鴻巣 友季子虚実ないまぜ、重層のしかけなんと、遊び心にみちて人を食った小説だろう。なのに、なんともせつない。愛と戦争と贖(あがな)いといった、普遍的な…
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『そして山々はこだました』(早川書房)
鴻巣 友季子残酷さと慈悲が彩る家族の物語アフガニスタンの家族たちの五十年余にわたる四世代のこの物語は、たった一つのイメージが作者のなかに突如、降りてき…
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『秘密』(東京創元社)
鴻巣 友季子視点と時間軸を行き来する叙述相変わらず、ケイト・モートンの手並みを堪能できるミステリだ。フィクションでは、「わたしは」と一人称で語っている…
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『恋しくて - TEN SELECTED LOVE STORIES』(中央公論新社)
鴻巣 友季子甘くて苦いラブストーリー村上春樹編訳のラブ・ストーリーが9篇(へん)と、本人の書き下ろし作が一篇、収められた短編集だ。集められたのはシンプ…
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『ならずものがやってくる』(早川書房)
鴻巣 友季子文体を変えながら生みだす情感一、過ぎ去った時間はもどらない。二、人間はいつか死ぬが、だからといって無になるわけではない。ものすごく端的に言…
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『雲をつかむ話』(講談社)
鴻巣 友季子ふわふわと流転を重ねる言葉始まりは、ベルリンに住む作家の語り手の「わたし」が「朝、白いリボンのように空を横切る一筋の雲を見ているうちに」あ…
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『時は老いをいそぐ』(河出書房新社)
鴻巣 友季子思い出の断片と一瞬のきらめきアントニオ・タブッキは文学の大きな伝統を引きつつ常に先端にいた。『時は老いをいそぐ』を読んだ数日後に著者の訃報…
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