
翻訳家。訳書にエミリー・ブロンテ『嵐が丘』、マーガレット・ミッチェル『風と共に去りぬ1-5巻』(以上新潮文庫)、ヴァージニア・ウルフ『灯台へ』(河出書房新社 世界文学全集2-1)、J.M.クッツェー『恥辱』(ハヤカワepi文庫)、『イエスの幼子時代』『遅い男』、マーガレット・アトウッド『昏き目の暗殺者』『誓願』…もっと読む
『プロローグ』(文藝春秋)
鴻巣 友季子小説という「ウソ」の臆面なさに対抗小説(散文)は、詩歌(韻文)という本能により近いものを離れて生まれた人工アートである。この臆面もない「ウ…
書評
『夜想曲集: 音楽と夕暮れをめぐる五つの物語』(早川書房)
鴻巣 友季子人を隔てる「壁」、滑稽さで描く若い頃ミュージシャンを目指したという作者初の短編集だ。各編には色々な「音楽家」が登場する。往年の大物歌手、無…
書評
『悪い娘の悪戯』(作品社)
鴻巣 友季子裏切り続けるヒロインの愛しさ育ちの良い教養ある男が、美しく欲の深い娘に惚(ほ)れぬき、さんざん翻弄されて各地を巡りながら堕(お)ちてゆく………
書評
『ネザーランド』(早川書房)
鴻巣 友季子移民通じ米同時テロ後を描く米国で同時多発テロが起きてから10年あまりが過ぎた。この10年、「アメリカ」はなにを経験してきたのか。ビンラディン殺…
書評
『野良ビトたちの燃え上がる肖像』(新潮社)
鴻巣 友季子ただの人でいられない語り手たち恐ろしい小説が書かれた。近未来小説というのは、だいたい数十年から百年後ぐらいに時代が設定されているが、本作は…
書評
『黙約』(新潮社)
鴻巣 友季子解けぬ殺意の謎国際的名声をもつにも拘(かかわ)らず、日本では比較的知名度が低い作家がいる。ドナ・タートもその一人だろう。四半世紀前に殺人ミ…
書評
『戦地の図書館――海を越えた一億四千万冊』(東京創元社)
鴻巣 友季子兵士に自由に本読ませた米国戦地の兵士を支えるものはなにか。食糧、水、医薬品、安全な寝床。そうした物の他に、なによりも書物が精神の糧として必…
書評
『プリズン・ブック・クラブ--コリンズ・ベイ刑務所読書会の一年』(紀伊國屋書店)
鴻巣 友季子本を通じた受刑者との語らい米国では全米図書館協会の力が強く、万人が図書館を利用できるよう「図書館権利宣言」を発表したこともある。これに基づ…
書評
『作家はどうやって小説を書くのか、じっくり聞いてみよう! (パリ・レヴュー・インタヴュー)』(岩波書店)
鴻巣 友季子カポーティ、ボルヘス、カーヴァー、ヘミングウェイ、アーヴィング――目眩(めまい)がするような超ビッグネームが並ぶ。「パリ・レヴュー」誌から選…
書評
『騎士団長殺し』(新潮社)
鴻巣 友季子「偉大な小説の主人公には子どもがいない」――「小説と生殖」なるエッセイでそのように書いたのは、チェコの亡命作家ミラン・クンデラだ。「ドン・キ…
書評
『星の子』(朝日新聞出版)
鴻巣 友季子芥川賞候補『星の子』が描き出す“むきだしの真実”ものを知っている人のほうが、知らない人より賢い。一般的にはそう考えられている。ところが、「知…
書評
『不時着する流星たち』(KADOKAWA)
鴻巣 友季子喪失の甘美さに充ちたオマージュ集小川洋子は物語の一行目と二度目にめぐりあったのだと、わたしは思った。そうして書かれたのが、この不思議で、む…
書評
『私の名前はルーシー・バートン』(早川書房)
鴻巣 友季子エリザベス・ストラウト――彼女の愛読者はこの名前を口にするとき、うっすらと畏敬の念を漂わせる。多作ではない。社会問題を声高に問うてきたわけで…
書評
『愉快な本と立派な本 毎日新聞「今週の本棚」20年名作選(1992~1997)』(毎日新聞社)
鴻巣 友季子読み手に届く小さな矢の秘密書評家を根絶せよ。書評は役に立たないから――と、批評精神と辛辣(しんらつ)なユーモアに溢(あふ)れたエッセイを書い…
書評
『冥土めぐり』(河出書房新社)
鴻巣 友季子潮の満ち引きにも似た記憶の中の「地獄」第147回芥川賞受賞作の「冥土めぐり」と、根津に暮らす四姉妹とよそ者との遭遇を描く「99の接吻(せっぷん…
書評
『ハピネス』(光文社)
鴻巣 友季子素敵なママたちの孤独な世界にひそむ物語桐野夏生は多様な題材を多様なスタイルで書く。『東京島』や『ポリティコン』などで閉ざされたコミュニティ…
書評
『コンビニ人間』(文藝春秋)
鴻巣 友季子ネックレスをスープで煮よ今年なにが驚いたと言って、村田沙耶香の句会初参加の活躍にまさるものはないかもしれない。これは、堀本祐樹、千野帽子、…
書評
『蜜蜂と遠雷』(幻冬舎)
鴻巣 友季子あどけない邪眼をもつ神の子らピアノとクラシック音楽を材にとった小説の出版が続いている。調律師を主人公にした宮下奈都の『鋼と羊の森』や、高原…
書評
『百年の散歩』(新潮社)
鴻巣 友季子言語的「すずろ歩き」思索する散歩者を思えば、カントやダーウィンのように決まった時間にほぼ決まったルートを勤勉に歩くタイプと、ベンヤミンやボ…
書評
『有頂天家族』(幻冬舎)
鴻巣 友季子洛中にあやしいキャラがぞろぞろと桓武天皇の御代、万葉の地をあとにして入来たる人々の造りあげたのが京都である――と、これはあくまで人間の見た歴…
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