書評
『実践カルチュラル・スタディーズ―ソニー・ウォークマンの戦略』(大修館書店)
ソニーのウォークマンを取り上げ、この「文化的産物」の分析を通して、現代文化の生産・流通過程、およびその影響を読み解く。書名は難しそうだが、内容は決して難解ではない。
まず、ウォークマンの広告から、この新しいメディアがいかに表象されたかについて分析が行われ、続いてアイデンティティ、生産、消費、規制をキーワードに、文化の各プロセスが解き明かされた。五つのプロセスがいかに「文化の回路」を形成したかが、さまざまなエピソードをまじえながらわかりやすく説かれている。なかでもこの音響装置が伝統的な意味での公共空間と私的空間の分割を破壊した、とする指摘は興味深い。
電気製品を文化的テキストとして解読するのはそもそもカルチュラル・スタディーズの本領である。ウォークマンだけでなく、インターネット、携帯電話など新しいメディアにも共通する問題を秘めているだけに、技術革新が持つ文化的意味について考えるとき、本書は多くの示唆に富む視点を提供している。
【この書評が収録されている書籍】
まず、ウォークマンの広告から、この新しいメディアがいかに表象されたかについて分析が行われ、続いてアイデンティティ、生産、消費、規制をキーワードに、文化の各プロセスが解き明かされた。五つのプロセスがいかに「文化の回路」を形成したかが、さまざまなエピソードをまじえながらわかりやすく説かれている。なかでもこの音響装置が伝統的な意味での公共空間と私的空間の分割を破壊した、とする指摘は興味深い。
電気製品を文化的テキストとして解読するのはそもそもカルチュラル・スタディーズの本領である。ウォークマンだけでなく、インターネット、携帯電話など新しいメディアにも共通する問題を秘めているだけに、技術革新が持つ文化的意味について考えるとき、本書は多くの示唆に富む視点を提供している。
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