書評
『Free Culture』(翔泳社)
かつては当たり前のものだった自由の集合を再構築する方法
創造性と文化に再び自由を!――本書の主張はこれに尽きる。先だって可決・成立してしまった「輸入権」、正式名称「著作権法の一部を改正する法律案」には、書籍・雑誌の貸し出しを規制する「貸与権」の適用も含まれていたが、本質的に重要なのは、この法律が、権利者側に「コントロール権」を与えるものであることだろう。危惧されたとおり、コントロール権としての著作権強化へ向けてのロビー活動はますます活発になっているようだ。私的複製も法で規制し一切のコピーを有料化するべきだという声が上がっていることが早くも伝えられている(『ASAHIパソコン』04年8月15日/9月1日合併号)。iPodへファイルを転送しただけでお縄になる時代が来るかもしれないわけだ。
インターネットの普及で行為の意味がガラリと塗り変わった世界で、巨大メディアのコントロール欲望が法を拡張し、本来フェアユースだったはずの領域やパブリック・ドメインまでもを激しく浸食しつつあるそうした現状を、レッシグは具体的な事例に沿い検証していく。
あらゆる創造的営為は過去の遺産に依っている。しかし、昨今の著作権強化の気運は、それら「コモンズ(共有地)」の利用をどんどん不可能にしつつある。後半では、いかにこのコモンズを確保するかの処方箋、「かつては当たり前のものだった自由の集合を再構築する方法」が述べられる。おなじみ「クリエイティヴ・コモンズ」運動と、その先、法が文化を過剰に支配しないようにするための具体的な提案の2本立て。
前著『CODE』『コモンズ』の変奏と呼べる一冊だが、いちばん取っつきやすい仕上がりだと思う。まずは手に取って欲しい。自由(free)の意味を考えるために。
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