コラム
張競|2008年今年の三冊『奇縁まんだら』『臨床瑣談』『梵語対照・現代語訳法華経(上・下)』
瀬戸内寂聴著、横尾忠則画『奇縁まんだら』(日本経済新聞社出版社)
文壇逸話の本はほかにもあるが、『奇縁まんだら』は人情味に溢れている。作家たちの素顔、偶然の出会いによって導き出された交友関係の不思議さが描かれていて面白い。中井久夫著『臨床瑣談』(みすず書房)
精神科にとどまらず、医療関係全般について知見を語った『臨床預談』を読んで感心することしきり。心身の不調について、より広い文脈において考えるという治療思想は医学という領域を超え、独特の身体論、すぐれた人間論になっている。植木雅俊訳『梵語対照・現代語訳法華経(上・下)』(岩波書店)
法華経のような重要な仏教経典でも長らく正確な翻訳がなかったことを知って驚愕したが、ようやく信頼できる現代語訳があらわれたのはありがたい。ALL REVIEWSをフォローする








































