書評
永江 朗「2025年 この3冊」毎日新聞|<1>パーシヴァル・エヴェレット、木原善彦訳『ジェイムズ』(河出書房新社) <2>北村 紗衣『学校では教えてくれないシェイクスピア』(朝日出版社) <3>いしい しんじ『チェロ湖』(新潮社)
2025年「この3冊」
<1>パーシヴァル・エヴェレット、木原善彦訳『ジェイムズ』(河出書房新社)
<2>北村 紗衣『学校では教えてくれないシェイクスピア』(朝日出版社)
<3>いしい しんじ『チェロ湖』(新潮社)
<1>は『ハックルベリー・フィンの冒険』を逃亡した黒人奴隷ジム(ジェイムズ)の視点で語り直した長編。面白く、愉快で、ページをどんどんめくるうちにアメリカの近現代史がくるりと逆転する。マーク・トウェインを再読したくなる。<2>は男子高校生を相手にした講義録。作品解説だけでなく、演出に挑戦したり、映画を見て批評を書いてみたり。読むこと・考えること・批評することの根源にまでいざなう。シェイクスピアを再読したくなる。
<3>は、いしいしんじ版『百年の孤独』だ。弦楽器の形をした大きな湖とそのほとりを舞台に、一族100年間のエピソードを連ねていく。手回し蓄音機の針で古い「ものがたり」を釣り上げるという仕掛けも楽しい。琵琶湖の歴史をもっと知りたくなった。
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