書評
『砂浜に坐り込んだ船』(新潮社)
亡き友人との対話テーマ
文学全集の編者として著者の名前を見かける機会が増えた。だが実作者としての池澤夏樹に、ときどき会いたくなる。8篇を収める新しい短篇集はだから、とてもありがたい。一貫したテーマがある。すでに死んでしまっている友人・知人との対話。冒頭の表題作が印象的だ。
ある日、新聞に石狩湾新港近くの浜に座礁した船の写真が載った。ベトナムの貨物船は、砂の上に坐りこんだように写っていた。現地に行って船をみる。
坐礁した船は美しかった
帰宅して撮った写真を見ているうちに、死んだ友人がすぐ傍にいるような感覚に襲われた。彼の住んでいた家、母親との静かな生活。抑制の効いた文体が印象的だ。
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