書評
『中国演劇の二十世紀―中国話劇史概況』(東方書店)
中国の演劇といえば、京劇や越劇などの地方劇がまず思い出される。だが、近代中国の演劇は何も伝統だけではない。日本の新劇に相当する現代劇もある。中国語では「話劇」という。
その話劇は二十世紀初頭に誕生したが、中国語による初の公演は東京駿河台にある中国青年会で行われた。演出も俳優も日本の新派から影響を受けた中国留学生たちである。やがて上海でも話劇が上演されるようになり、上海からさらにほかの都市に広まっていった。だが、興行として成立ったのは一九二〇年代に入ってからのことである。
本書ではそのような話劇の発展を歴史順にたどり、劇作家、作品および上演の状況を追いながら、各時期において話劇が上演される背景と意義、抗日戦争や政治とのかかわりなどがわかりやすくまとめられた。その作業を通して、話劇は伝統劇よりイデオロギーの影響を受けやすい特質が浮き彫りになった。中国の現代演劇を知りたい人にとっては、興味深い一冊である。
【この書評が収録されている書籍】
その話劇は二十世紀初頭に誕生したが、中国語による初の公演は東京駿河台にある中国青年会で行われた。演出も俳優も日本の新派から影響を受けた中国留学生たちである。やがて上海でも話劇が上演されるようになり、上海からさらにほかの都市に広まっていった。だが、興行として成立ったのは一九二〇年代に入ってからのことである。
本書ではそのような話劇の発展を歴史順にたどり、劇作家、作品および上演の状況を追いながら、各時期において話劇が上演される背景と意義、抗日戦争や政治とのかかわりなどがわかりやすくまとめられた。その作業を通して、話劇は伝統劇よりイデオロギーの影響を受けやすい特質が浮き彫りになった。中国の現代演劇を知りたい人にとっては、興味深い一冊である。
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